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大阪知事選 スポーツ紙は橋下氏中心、民放は公平性配慮

2008年01月23日

 大阪府知事選をめぐるスポーツ紙と民放テレビ各局の報道ぶりが好対照を見せている。専従記者を張りつけ、知名度のある候補者を中心に紙面作りを続けるスポーツ紙。対する民放各局は05年衆院選の「小泉劇場」の反省もあり、公平性の維持を基本にしているという。

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 「橋下氏 熊谷氏 ミナミで超接近」(大阪日刊スポーツ)。「逃げる橋下氏 追う熊谷氏」(スポーツニッポン)――。

 ラストサンデー翌日の21日付朝刊。日刊、スポニチ、サンケイスポーツ、スポーツ報知の4紙の芸能・社会面などに大きな見出しで知事選の記事が載った。

 スポーツ各紙は、ほぼ全社が専従記者を張りつけ、連日、府知事選を取り上げている。狙いはタレントで弁護士の橋下徹氏(38)だ。告示後の11〜23日、デイリースポーツを含めた5紙で橋下氏の名前が大見出しになったのは35回。熊谷貞俊氏(63)は14回、梅田章二氏(57)は1回。

 日刊の苗村善久編集局長は「橋下氏が出たことで27日まで社会面の優先順位は一番上。読者の関心が高い現象を載せるのが基本だ」と語る。あるスポーツ紙デスクは「著しく公平さを欠いて忸怩(じくじ)たる思いはある。だが、読者の興味は候補者全員にはないだろう」。

 公職選挙法は、誰かを当選させる目的で選挙報道することを禁じるが、虚偽や歪曲(わいきょく)などを除いて「報道の自由を妨げない」と定める。朝日新聞も立候補している5人のうち、主要政党が支援する有力3候補を中心に報道している。

 そんな中、スポーツ紙が重点を置くのは橋下氏のパフォーマンス。卸売市場に行けば「橋下氏長靴行脚」(日刊)、自民党府連女性局であいさつすれば「橋下氏ドキッ ピンクのラブコール」(スポニチ)……。「マニフェストは一般紙の世界。うちは素顔やパフォーマンスを追う」と言うのはスポニチの山脇正章文化社会部長だ。

 これに対し、熊谷陣営幹部は「これでは橋下氏と知名度に差が生じる」とし、梅田陣営幹部も「公平にして欲しいと言いたくなる」という。

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 一方のテレビ各局。注目度が高いだけに、これまでに在京キー局のテレビ朝日、フジテレビが候補者討論を放送。朝日放送の「ムーブ!」も討論会を放送した。

 各局が気をつかっているのが公平性だ。テレビ朝日の「スーパーモーニング」では、全員をスタジオにそろえ、事前に席順を立候補表明の順番にすることなどを決めたという。橋下氏がレギュラー出演していた「ムーブ!」では、3人均等に質問するように司会者や出演者に徹底した。

 こうした報道姿勢の背景にあるのが「刺客騒動」が話題になった05年衆院選。「小泉劇場」にメディアが振り回されたとの指摘がなされた。朝日放送ニュース情報センターの井上隆史ニュース担当部長は「目新しい話題に飛びついてしまう我々の習性をうまくつかれた」と振り返る。

 同社では、その反省から昨年の参院選直前に選挙報道に関する勉強会を局内で開き、パフォーマンスや話題性ばかりに注目することは控えることなどを確認した。

 橋下氏がレギュラー番組を持っていた読売テレビの吉田満・報道局局次長も「選挙戦に入れば一候補者。報道局の部会などで、各候補者は同様の扱いを徹底するよう伝えている」と話す。

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