◇「忠臣蔵七段目」「熊谷陣屋」…
初代松本白鸚(はくおう)(八代目幸四郎)の27回忌追善公演が2月の歌舞伎座で行われ、白鸚ゆかりの演目がそろう。
白鸚は戦後歌舞伎を代表する立ち役の一人。七代目松本幸四郎の次男に生まれ、初代中村吉右衛門のもとで修業を積み、後にその長女と結婚した。
1949年に八代目幸四郎を襲名。81年に親・子・孫三代の襲名を行い、自身は白鸚、長男の市川染五郎が九代目幸四郎、孫の松本金太郎が七代目染五郎を襲名した。翌82年1月に死去。現吉右衛門は次男で、初代吉右衛門の養子に入っている。
立派な風貌(ふうぼう)と重厚な演技で、「仮名手本忠臣蔵」の由良之助(ゆらのすけ)、「熊谷陣屋」の熊谷、「勧進帳」の弁慶など、英雄や豪傑の役を得意とした。
「とにかく舞台ぶりが大きく、出てきただけでお客様を満足させる役者でした。父が『忠臣蔵七段目』の由良之助を演じたときには、お客様が『由良之助はこういう人だったのかもしれないわね』とおっしゃっていました」と幸四郎。自身は昼の部で「七段目」の由良之助、夜の部で「熊谷陣屋」の熊谷をつとめる。
かわいがられていた孫の染五郎が演じるのは、昼の「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」の宗貞と「七段目」の平右衛門、夜の「鏡獅子」の小姓弥生後に獅子の精。
「祖父が由良之助を演じた『七段目』で力弥(りきや)(由良之助の子)をつとめたのが、最初で最後の共演でした。そのときのことを思い返しながら、つとめられればと思っています」。宗貞は初役。「鏡獅子」は本興行では初挑戦となる。「どれもが自分の目標とする大きな役です」
吉右衛門は「積恋雪関扉」の関兵衛。夜に「口上」が付く。
2月1日から25日まで。問い合わせはチケットホン松竹(03・5565・6000)へ。【小玉祥子】
毎日新聞 2008年1月24日 東京夕刊