長野県軽井沢町が運営する病院で03年、出産時の医療ミスで死亡した女性(当時32歳)の遺族3人が、町側に賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は24日、賠償の増額などを求めた遺族側上告を棄却する決定を出した。医療事故の慰謝料を通常の交通事故よりも高額と認め、約7200万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決(07年9月)が確定した。
死亡に伴う慰謝料は、判例の多い交通事故被害での金額が基準。だが2審は、1審・東京地裁判決(06年7月)に続いて「医療ミスでは医師への信頼を裏切られた精神的苦痛も生じる。女性を約3時間も放置するなど病院側が信頼関係に反した程度は高い」と判断し、交通事故の場合より約300万円上乗せした2700万円を慰謝料として認めた。
小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べ、具体的判断は示さなかった。【高倉友彰】
毎日新聞 2008年1月24日 20時29分