先進医療の導入、「説明がない」

 「これではなぜ保険導入が必要なのか分からない。説明がないのは極めて問題だ」――。厚生労働省は2008年度の診療報酬改定で24件の先進医療について保険適用を認めることを中央社会保険医療協議会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)の総会に提案した。十分な説明がないことに診療報酬の支払側委員から不満の声が相次ぎ、総会は一時紛糾したものの次回(2年後の改定時)に説明方法を見直すことを条件に了承された。

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 厚労省は1月23日、先進医療専門家会議(座長=猿田享男・慶応大医学部名誉教授)が取りまとめた報告書を中医協総会に提示し、先進医療24件の保険導入を提案した。

 しかし、この提案資料には保険適用の理由が具体的に記載されておらず、24件の技術名と概要が列挙されているだけ。
 先進医療技術の内容を写真入りで説明しているのも5件だけだった。

 これに対して、支払側の対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「技術そのものの説明も必要だが、この先進医療をなぜ保険適用にするのかが分からない。『技術が成熟したから』とか、『安全性が確保されたから』という説明がないのは極めて問題だ」と強い口調で迫った。
 さらに対馬委員は混合診療との関係についても触れた。「先進医療については混合診療の問題もあって議論がある。特に、先進医療にするかは規制改革会議などで議論があったが、『保険適用するか』は私たちが汗をかく場ではないのか」

 厚労省保険局医療課の宇都宮啓企画官は「先ほどは説明を省いてしまった」として参考資料を示しながら、次のように答えた。
 「先進医療を保険導入するに当たって考慮すべき事項は、有効性、安全性、技術成熟度、社会的妥当性、普及性、効率性とあり、これらを考慮して先進医療専門家会議でご議論いただいた」

 対馬委員は「それは承知している。なぜ、保険導入するのか説明がないとここで議論できない。例えば、先進医療の適用年月日が昭和60年のものがある。『20年経って、なぜ今?』と思うし、逆に今年1月に適用されたものもある」と反論した。
 土田会長は「重要なご指摘だ。次回(2年後の改定時)は先進医療専門家会議を踏まえて『なぜか』を詳しく示してほしい」と議論をまとめたことで、ようやく提案は了承された。

【混合診療】
保険外診療と保険診療を併用する混合診療は現在の制度では原則として禁止され、これらを併用する場合には診療行為の全体の費用が患者の自己負担になる。しかし、先進医療と認められた医療技術については「混合診療」が認められるため、一部負担のまま治療を受けられる。


更新:2008/01/24   キャリアブレイン

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