個人を確定するためにDNAを登録するというシステムが、犯罪者の再犯事件の捜査に役立てるという、開発者の当初の意図からかけ離れ、何十万という無実の人々のデータを擁する大データベースに「成長」した現状に対して、同システムの開発者本人が大きな懸念を訴えていることが報じられた。
1984年にDNA登録システムを開発したという、レスター大学のアレック・ジェフリー教授は、自分がこのシステムを開発したそもそもの目的は、一度有罪となった犯罪者のDNAをデータベースに登録することで、その犯罪者が再び罪を犯した時に、警察が過去の犯罪歴などを効率よく入手できるようにしたかったためと説明。
しかし、労働党政府は2004年に法律を改正。逮捕された時点でその人物のDNAデータを登録し、この人物が後に無罪となって釈放されても、そのDNA情報はデータベースに残すことを合法としてしまったという。
その結果、無実にもかかわらずいまだにこのデータベースにDNAが登録されている人の数は82万214人にのぼり、2004年以降にデータベースからの「消去」に成功した例はわずか673件。残りはDNAデータ提供者が犯罪とは無関係であっても、今後無期限でそのデータが保存されることになり、人権を無視した政府の個人データの取り扱いに、野党などからも批判の声が聞かれているという。
内務省では、DNAデータベースが解決に役立ったのは、殺人事件が452件、レイプ事件が644件、他の暴力事件が1,872件であったと報告、批判に対して反論を展開している。
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