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大阪の救急医療は破綻寸前 本紙調査 (1/2ページ)

2008.1.25 00:12
このニュースのトピックス救急搬送受け入れ問題

 「救急医療は破綻(はたん)寸前」−。産経新聞が大阪府内の自治体消防や救命救急センターに行ったアンケート調査。返信された用紙には医師や救急隊員の悲痛な叫び声があふれていた。回答を分析すると、問題の背景には救急医療現場に携わる人々の「心身疲労」▽搬送される頻度の高い「2次救急病院の減少」▽縄張り意識ととられかねない「医療の細分化」−の主に3つの要因が浮かび上がる。

 ■右肩上がり

 「心身の疲労」については、回答があった府内11の救命救急センターすべてが挙げていた。大阪市総合医療センターは、「月7〜8回の当直。翌日も夕方まで」、三島救命救急センターは「看護師の希望者が減少し、退職者が増加した」と劣悪な勤務状況を訴える。

 背景には、根本的な医師や看護師不足に加え、救急出動件数そのものが増えているという事情がある。大阪府によると、府内の平成18年の出動件数は49万8526件。14年からの4年間で約7万件増加しており、その数は右肩上がりだ。

 中河内救命救急センターは「理想では現在の2倍の医師が必要」。急性期・総合医療センターは「複数回拒否された事例を受けざるをえない場合が多く、業務に負荷がかかっている」としており、各施設で受け入れ拒否が日常化している様子が伺える。

 ■しわ寄せ

 近大医学部附属病院救命救急センターでは搬送される人員の中で、本来なら2次病院に向かうべき患者の占める割合が約20%。さらに「治療後に医師が2次病院の転院先を探してもなかなか見つからない」としており、3次病院の慢性的な満床にもつながっている。

 大阪府医師会の調査では14年に府内に288件あった2次病院は18年末には265件に減。医師不足や補助金の削減など要因は複合的だが、そのしわ寄せが“最後のとりで”である3次救急に及んでいる。

 また、関西医大附属滝井病院高度救命救急センターでは16年春の研修医制度改革に疑問を呈し、「研修が義務化されて以降、外へ出た人が医局に戻らなくなった。勤務実態を見て若い人が尻込みしてしまうのではないか」。

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