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蔓延ウイルスも作成 逮捕の院生、個人情報流出の機能

2008年01月25日03時03分

 ファイル交換ソフト「Winny」(ウィニー)を使ってテレビアニメの画像を無許可で使用したとして、大阪府の大学院生が著作権法違反容疑で京都府警に逮捕された事件で、大学院生が06年ごろからネット上に蔓延(まんえん)しているコンピューターウイルス「原田ウイルス」を作成していたことが分かった。逮捕容疑の対象となったウイルスは「原田ウイルス」を元に作成され、感染したパソコンから個人情報を含むファイルなどを流出させる機能もあったという。

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原田ウイルス感染の仕組み

 逮捕されたのは、大阪電気通信大学大学院生の中辻正人容疑者(24)=大阪府泉佐野市中庄。

 府警生活経済課ハイテク犯罪対策室の調べに対し、中辻容疑者はテレビアニメ「クラナド」の画像を無断で使った「クラナドウイルス」を作成したと認めたうえで、「原田ウイルスも自分が作った。なぜ特定されたのか分からない」などと供述しているという。

 「クラナドウイルス」は06年ごろから感染が広がった「原田」の亜種の一つで、感染したパソコン内のデータが破壊され、アニメのキャラクター画像に置き換えられる。さらに自動的に別のウイルスに感染し、被害者のパソコンのIPアドレスや個人情報を含むファイルなどが中辻容疑者が作成したホームページに転送されたケースもある。

 ウィニーの利用者は国内外におり、府警は「原田ウイルス」や「クラナドウイルス」の被害が韓国など海外にも広がっているとみている。

 府警はこれとは別に、ウィニーを介して人気アニメなどの動画ファイルを不特定多数の人にダウンロードさせたとして、堺市東区野尻町の会社員堺省治(39)、兵庫県尼崎市長洲中通2丁目の無職池間勝久(35)の両容疑者も同法違反容疑で逮捕したと発表した。

 2人はそれぞれ匿名のIDを使い、ウィニーを介して新作アニメの動画などをネット上に無断で頻繁に流していた疑い。ウィニー利用者の間で知られた存在だった。

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 〈原田ウイルス〉日本人の手で作り出された、最近流行の3大ウイルスの一つ。ウイルスの中に作成者の知人の名前があったのが命名の由来。亜種を作る専用ソフトがあるといわれ、使う画像や悪さをする機能を簡単に変更できるのが特徴。このため、亜種は増え続け、対策ソフトの対応も遅れ気味ともいわれている。「山田ウイルス」「Kakkeys」(カッキーズ)が他の二つ。いずれも、動画や音楽など特定分野に興味をもつ人たちが多く利用するファイル交換ソフト「Winny」(ウィニー)などで感染を広げている。

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