「現在の技術では、はがき用では古紙5%が限度だ」。古紙の偽装表示をした理由について、日本製紙は16日の記者会見で、こう釈明した。古紙配合量が増えるとチリなどが紙に残り、紙の白さや保存性、印刷適性などの必要な品質を維持できないという。同社は、古紙処理技術の改善に努めていたと言いつつも、結果的に古紙配合率を下げて、品質を確保する「偽装」に逃げ込んでいた。
年賀はがきについては、受注当時の「見込み違い」も大きかった。再生はがきの利用が始まった92年ごろ、同社は工場内で発生した損紙も「古紙」だと考えていた。古紙を6%、損紙を30%の比率で混ぜた「配合率36%」をテスト生産。その結果「近い将来の技術革新で(契約基準の)40%は実現可能」と判断し受注を決めた。ところが、その後、損紙は古紙として認められないことが判明し、当初のもくろみが外れた。
はがき以外の用紙のうち、コピー用紙については「グリーン購入法施行後も(配合率は)努力目標と考えていた」と、法の理解不足も露呈した。
古紙の配合率を減らしても、製紙会社の利益率は上がらないとされる。しかし、環境意識の高まりから、古紙配合率が高いことを納入条件にする発注元が増えたため、偽装表示してでも品質の良い紙を生産し納入し続けたとみられる。【小島昇、高倉友彰】
毎日新聞 2008年1月17日 1時09分