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古紙配合不正:日本製紙社長、辞任へ コピー用紙でも偽装

古紙配合率を偽った理由などについて説明する中村雅知・日本製紙社長=東京都中央区で2008年1月16日午後5時10分、斎藤良太撮影
古紙配合率を偽った理由などについて説明する中村雅知・日本製紙社長=東京都中央区で2008年1月16日午後5時10分、斎藤良太撮影

 年賀はがきの古紙配合率が基準に達していなかった問題で、業界大手の日本製紙は16日、コピー用紙などでも古紙配合率を偽って販売していたと発表した。中村雅知社長は「環境偽装と言われても否定できない。国民の信頼を裏切った事実を深刻に受け止め、深くお詫びする。経営責任は私にある」と謝罪した。原因究明と再発防止策をまとめた後に、辞任する。基準に達していない紙製品の生産販売は中止する。

 中村社長は会見で、小松島工場(徳島県小松島市)工場長だった98年当時、一部の製品の古紙配合率の表示に偽装があることを知っていたと明らかにした。日本製紙は長年、組織的に偽装表示を続けていた可能性もある。

 日本製紙の調査では、92年の暑中見舞い用のはがきから偽装表示が行われ、一度も古紙配合率40%の基準を満たされず、最大でも5%だったという。政府や独立行政法人に再生紙の購入を義務づけたグリーン購入法の対象になるコピー用紙でも、古紙100%と表示しながら59%にとどまっていた。

 古紙配合率が偽装された日本製紙の紙製品は、08年分の年賀はがきでは全体の約40億枚の54%に当たる。グリーン購入法対象のコピー用紙も、月6540トンが生産されていた。

 偽装表示を続けた理由について、日本製紙は「古紙配合量が増えれば、チリなどが紙に残るため、古紙配合率を下げて品質を確保していた。現在の技術では、はがき用では古紙5%が限度だ」などと釈明した。

 古紙の配合率を減らしても、製紙会社の利益率は上がらないとされる。しかし、環境意識の高まりから、古紙配合率が高いことを納入条件にする発注元が増えたため、偽装表示してでも品質の良い紙を生産し納入し続けたとみられる。【小島昇】

 ◇環境省は反発

 技術的に不可能とする同社の説明に、環境省は「グリーン購入法の基準は市場調査の上で決めた。今になってできないというのは、法の趣旨を理解していないのではないか」と反発し、偽装紙の官庁への納入実績などについて、再調査するよう指示した。【山田大輔】

毎日新聞 2008年1月16日 20時31分 (最終更新時間 1月17日 0時45分)

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