日本製紙が納入した年賀はがき(再生紙はがき)で古紙配合率が契約の基準を大幅に下回っていた問題で、全納入メーカーが基準の40%よりも低い配合率のはがきを納入していたことが16日、日本郵政や経済産業省の調べで分かった。日本製紙だけでなく、王子製紙、大王製紙、三菱製紙、北越製紙でも同様の偽装があった。経産省は、5社と日本製紙連合会に再発防止策の実施と報告を求め、公正取引委員会も近く、景品表示法違反(優良誤認)の疑いで調査に乗り出す方針だ。
日本製紙の中村雅知社長は同日記者会見し、はがきだけでなく、政府や独立行政法人に再生紙の購入を義務づけたグリーン購入法の対象になるコピー用紙などでも古紙配合率を偽って販売していたと発表した。中村社長は「環境偽装と言われても否定できない。国民の信頼を裏切った事実を深刻に受け止め、深くお詫びする。経営責任は私にある」と謝罪した。原因究明と再発防止策をまとめた後に、辞任する意向だ。契約の古紙配合率に達していない紙製品の生産や販売は中止する。
持ち株会社の日本製紙グループ本社の社長も兼ねる中村社長は会見で、小松島工場(徳島県小松島市)の工場長だった98年当時、一部の製品の古紙配合率の表示に偽装があることを知っていたと明らかにした。日本製紙は長年、組織的に偽装表示を続けていた可能性もある。
日本製紙の調査では、はがきについては、年賀はがきだけでなく92年の暑中見舞い用から偽装表示が行われ、一度も古紙配合率40%の基準を満たされず、最大でも5%しかなかったという。このほか、コピー用紙や、ノートや公共料金の請求書で使用する用紙でも偽装表示があった。コピー用紙は、古紙100%と表示しながら59%の配合率で生産されていた。
古紙配合率が偽装された日本製紙の紙製品は、08年分の年賀はがきでは全体の約40億枚の54%に当たる。グリーン購入法対象のコピー用紙も、月6540トンが生産されていた。
偽装表示を続けた理由について、日本製紙は「古紙配合量を高めると、品質を犠牲にしなければならず、古紙配合率を下げて品質を確保していた。現在の技術では、はがき用では古紙5%が限度だ」などと釈明した。
同様の表示偽装が分かった王子製紙など4社も「他の紙製品も含めて社内調査を行っている」と説明している。【小島昇】
毎日新聞 2008年1月16日 20時48分 (最終更新時間 1月17日 1時23分)