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05年に入り、いよいよブッシュ政権の第二期がスタートした。一般教書演説では威勢のいい限りであったが、イラク情勢は一向に好転する兆しさえない。米軍の太平洋地域における要衝ハワイから望んだイラクはどう映るのか。 |
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1.イラク戦争の位置づけ | |||||
増田 |
ハワイは伝統的に民主党の強固な地盤でした。ところが、現ハワイ州知事のリンダ・リングル氏がそうであるように、このところ共和党がハワイ政界の主導権を握るようになっています。 ハワイでのこうした政治的変化は何に起因すると考えていますか。 |
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ワイヘエ |
02年に共和党のリンダ・リングル氏が知事選に勝ち、ハワイでは女性初の知事となりました。ハワイで共和党の知事は62年以来、40年ぶりのことですが、実は98年の知事選で彼女が敗れたときよりも、02年の選挙では2万票少なかったにもかかわらず当選を果たしています。 これは非常に興味深いことで、おそらくハワイの人々は民主党にうんざりしているのではないでしょうか。つまり民主党を支持してきた人々が棄権したことが、リンダ女史の当選につながったと考えられます。 |
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増田 |
つまり民主党は人々の支持を得られなかった。 |
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ワイヘエ |
そう、確かに民主党員は存在します。しかし彼らは共和党員ほど積極的ではないと言えます。先般の大統領選ではケリーがハワイを取りましたが、ブッシュとの差は4万票足らずでした。それでも選挙結果を精査してみると、コナのみならず他の地域でも全体的にケリーの得票がブッシュを上回っていました。ですから、将来的にもハワイにおいて民主党は依然として力を持つとは思いますが、強力なリーダーが出てくる必要があると感じています。 リンダ女史は共和党のリーダーとしてよくやっています。06年に彼女が再選できるかどうかは、今後ブッシュがどのような評価を受けるかに大きく影響されるでしょう。というのも彼女は政治的にブッシュに非常に近い。それは大統領選直前に突然チェイニー副大統領がハワイに遊説に訪れたことでも分かります。これは異例のことです。 |
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増田 |
ハワイの米軍基地からも多くの若者がイラクへと派遣されています。犠牲者も多数出ている。このことについて批判は出ていませんか。 |
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ワイヘエ |
ハワイで生まれ育った人達にも犠牲は出ています。これは影響が大きい。だからといって、現時点で何か表立って行動するわけではありません。犠牲者が出ればブッシュ大統領に対して怒りを持つかもしれません。戦争によって引き起こされる結果に対してマイナスの感情を持ったとしても、公の行動につながっていません。みんな口をつぐんでしまっている。誰もイラクやテロリストの肩を持っているなどと誤解をされたくないのです。 しかし、実際に自分の家族、知り合いが死んでしまっているのですから、内心ではやり切れない。おそらく2年後には状況も大きく変わっているでしょう。そのときにまだ米軍がイラクに駐留しているとしたら、「なぜ」と強く自問するようになるでしょう。 |
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増田 |
ブッシュ大統領は03年5月1日に戦争終結宣言をしましたが、その後も戦死者の数は増加の一途を辿っています。 |
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ワイヘエ |
歴史を振り返ってみると、第二次大戦では圧倒的多数のアメリカ人があの戦争を支持しました。ベトナム戦争では反戦の大きな流れができた。今回のイラク戦争はちょうど両者の中間に位置するようです。 |
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増田 |
その観点は興味深いですね。ベトナム戦争では「何のために死ぬのか」という疑問を多くの人が持った。 |
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ワイヘエ |
その通り。そして91年のイラク戦争では開戦から終結までがすばやくて、批判する暇もありませんでした。 |
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増田 |
戦争とさえ感じなかった。 |
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ワイヘエ |
そう。しかし今回は特殊な状況で、人々は考えを決めかねているのです。 |
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増田 |
大統領選の結果から言えば、ブッシュは確かに選挙には勝ちましたが、ブッシュに対する批判も大きかった。例えば、テロの情報を事前に入手していたというCIAその他の機関からの報告があり、9・11の惨事を予見できたのではないかという批判があります。 これだけでなく、ブッシュに対するネガティブな意見は枚挙に暇がありません。 |
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(続きは本誌をご覧になってください。) |
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