コンピューターウイルスを潜ませたアニメ著作物をインターネット上のファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」で流したとされる著作権法違反事件で、逮捕された大阪府泉佐野市中庄、大阪電気通信大大学院生中辻正人容疑者(24)はアニメ動画に偽装したウイルスを流す際、「良質」のアニメ動画を公開している別人の個人識別コードを偽装ファイルのタイトルに添えていたことが、京都府警ハイテク犯罪対策室などの調べで24日に分かった。
府警によると、ウィニーに表示されるファイル名には公開者を識別する「トリップ」と呼ばれる10けたの文字列が添えられている。中辻容疑者はアニメ「ガンダム」最新作の動画ファイルを公開した別人のトリップをウイルスの偽装ファイルのタイトルに添えていたという。
ウィニーでは優れた画質などの「良質作品」を公開する人物のトリップの付いた動画ファイルがよくダウンロードされる。中辻容疑者は何らかの方法で別人のトリップを複製し「良質作品」と思わせてウイルスをダウンロードさせていたとみられる。
中辻容疑者は昨年10月から11月の間、自ら作成したウイルスにアニメ制作会社が著作権を持つアニメ「クラナド」を改変した画像を組み込ませて、ウィニーで公開した疑いで逮捕された。「ぼくがウイルスを作った。話題性があるクラナドを使った」などと容疑を認めているという。
ウイルスは「原田ウイルス」の亜種で、感染すると画面に利用者をあざける文言を添えた「クラナド」の一場面が表示され、プログラムなどが破壊される。IPアドレスなどの個人情報やデータファイルが勝手に中辻容疑者のパソコンに取り込まれる場合もある。
府警は24日、「ガンダム」最新作の動画ファイルを公開した大阪府と兵庫県の男2人を著作権法違反の疑いで逮捕した。中辻容疑者が2人のトリップを偽装ファイルのタイトルに添えたこともあったという。
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