JR西日本は22日までに、毎週金曜に期間限定で運行している紀伊田辺駅(田辺市湊)発御坊駅(御坊市湯川町)行きの最終電車「ナイト11号」の運行期間を、3月末まで延長することを決めた。JRに電車の運行を要望してきた味光路振興会(保田正明会長)や田辺飲食業組合(橘勝太郎組合長)の関係者は「ほっとした」と喜んでいる。 ナイト11号は、昨年11月16日に運行を開始。田辺駅周辺の活気を取り戻すことや飲酒運転対策として、味光路振興会と田辺飲食業組合が同年6月、JRに最終便を遅くする内容の要望書を提出し、実現した。 御坊駅行き普通電車の最終便は、田辺駅発が午後9時51分だが、毎週金曜に運行するナイト11号は午後11時発。週末の夜、ゆったりと店で飲食を楽しめると利用客から好評だ。当初は1月25日までの期間限定だったが、2月以降もこれを続け、「臨時列車」として2両編成で運行することが決まった。 貴志公彦・田辺駅長は「利用人数が一定以上あったことや、(振興会や組合などの)皆さんに頑張っていただいたことが大きい。この根本には地元経済が活性化してほしいという思いがある」と説明している。 22日、同市新屋敷町の田辺市役所で振興会役員が記者会見を開き、4月からも運行を継続してもらうための取り組みなどを語った。 振興会によると、2、3月は忘年会・新年会シーズンが終わり、客が減少する時期。振興会と組合で電車への誘客対策として、車内でのマジックショー開催▽加盟店で利用できるサービス券を配布▽ポスター作成▽民間企業などを回っての利用呼び掛け―などを計画しているという。 保田会長は「JRに感謝している。酒を飲む人だけでなく、塾に通う高校生や仕事帰りのビジネスマンにも利用してもらえれば」。橘組合長は「飲酒運転などの問題で飲食業界が厳しい状況にある中、(延長は)大変ありがたい。これをどう生かすかはわれわれの課題」と話した。 JRによると、ナイト11号は第1回(11月16日)に106人の利用客があり、以降も66人(同月22日)、63人(同月30日)、55人(12月7日)など、過去9回(1月4日除く)の運行ではいずれも50人前後の利用があったという。