鳥取県米子市が、財政難を理由に、二〇〇八年度は市消防団(五百二十一人)の団員に支給する旅費(出勤手当)を、大幅縮減する方向で検討している。消防団員の報酬や旅費などで、〇七年度は約二千万円の経費を見込んでいるが、〇八年度は三分の二の約千三百万円に抑える方針。合同訓練の回数を減らし、資機材点検などの日常活動も限られた人員で行うよう分団長を通じて徹底させる構えだが、団員の一部からは士気低下を懸念する声も上がっている。
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出初め式で行われた米子市消防団のパレード。財政難の影響は消防団へも波及する=13日、同市旗ケ崎の米子港
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市防災安全課によると、消防団員が火災や行方不明者の捜索などに出動した場合はもちろん、資機材点検や合同訓練に参加した場合も旅費を支給している。〇七年度の一回の出動当たりの旅費は、市町村合併に伴う激変緩和措置のため、旧米子市の団員が二千七百円、旧淀江町の団員が三千七百円だった。〇八年度以降は二千八百円に統一することにしている。
しかし、財政難の同市は、▽合同訓練では、実際にポンプ操法などを行う団員にのみ旅費を支給する▽資機材点検も必要最低限の人員分しか旅費を支給しない−などの方針を決め、昨年十二月の分団長会議で説明した。
また、〇八年度は五月に日野川で国交省主催の大規模水防訓練があるため、九月の水防訓練を中止。十一月の放水・規律訓練は、各地域で行われている心肺蘇生法訓練とセットで行うことにするなど、合同訓練の回数も減らすことにした。
この方針に対し、市消防団の奥田山治団長は、「いざというときには頭でなく体で覚えていないと、迅速な動作ができない」と訓練の大切さを強調。「多少不満がある団員もいるようだが、市民に迷惑が掛からないように頑張ろうと話をしている」と語り、市の財政状況に理解を示した。
一方で、ある分団員は「訓練で旅費支給の人数が限られることで、士気が低下しないかが心配」と影響を懸念。市防災安全課の山西高史課長は、「火事や行方不明者の捜索などには、変わりなく取り組んでいただく。必要な訓練はやるので、消防力の低下にはつながらない」と話し、市民にも理解を求めている。