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【東京】

『たらい回し』都内でも 受け入れ拒否 清瀬の女性死亡 病院と救急連携に課題

2008年1月24日

救急車内に設置されている「救急医療情報システム」の端末=千代田区の東京消防庁で

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 心臓疾患の清瀬市の女性(95)が八日夜、十一カ所の病院に救急搬送の受け入れを拒否され、死亡した問題は、都内でも「たらい回し」が起きる現実を浮き彫りにした。「夜間や高齢者の場合、拒否されがちだ」という救急現場の声もあり、東京消防庁や医療機関の連携強化が求められている。 (北川成史)

 今回、受け入れを拒否した病院には、高度な救急医療を担当する三次救急医療機関も含まれていた。

 このうち、都立府中病院(府中市)は「循環器の専門医が、別の患者の対応で手が離せず、重篤な救急患者を受け入れる設備も満床だった」と説明。公立昭和病院(小平市)も「当直態勢で専門医が一人しかおらず、他の患者を処置中だった」と話す。

 多摩地区のある消防署員は「搬送先が決まるまで、三十分以上かかることが月に二、三回ある」と明かす。病院のスタッフが手薄な深夜や、長期入院が必要なケースが多い高齢者、路上生活者などの場合、時間がかかる傾向があるという。

 また「二十三区に比べ病院が密集していない多摩地区では、近くで断られると、次の病院への搬送に時間がかかる」と指摘する。

 東京消防庁は一九七六年から、急患を運ぶ病院の空床や診療科目、手術の可否を把握するための「救急医療情報システム」を導入している。

 同システムは、医療機関が情報をコンピューターに入力し、オンラインで、同庁に提供する仕組みだ。ただ、情報の更新は医療機関次第で、どのくらい難しい手術まで可能かなど、詳しい状況までは表せない。

 同庁は昨年一年間に搬送を拒否された事例の調査を始めている。今回の問題について、同庁は「都や医師会に、さらに連携を強めていくよう申し入れたい」と話している。

 

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