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岩国基地問題



 1996年、普天間飛行場の空中給油機の岩国移転が決定。岩国市は見返りとして市庁舎建て替え補助金49億円を国に「約束」させた。2005年10月、米軍再編で厚木基地の空母艦載機59機の移転も決定。06年の住民投票と市長選は反対派が勝ったが、国は同年12月に07年度の庁舎補助金35億円をカット。負担が増える自治体に払う再編交付金の対象からも外した。容認派が多数となった市議会は合併特例債を充てた予算案を再三否決。昨年12月の5回目の提出で井原氏の市長辞職と引き換えの形で可決した。

市長選2月3日告示 岩国への米艦載機移転 3度目民意どちらへ

2008年1月23日掲載)

 ●反対派 騒音と治安悪化懸念 容認派 地域浮揚効果に期待

 米空母艦載機の米軍岩国基地移転を争点にした山口県岩国市の出直し市長選が2月3日告示、10日投開票の日程で実施される。選挙戦は、移転反対派が支持する前市長の井原勝介氏(57)と、容認派が擁立した自民党前衆院議員の福田良彦氏(37)の一騎打ちが予想される。2006年3月の住民投票は9割が移転に反対。1カ月後の市長選で井原氏は大差で容認派を破った。今回、「民意」はどちらを選択するのか。街の表情を追った。

 「まるで電車のガード下のようですよ」。基地周辺に住む男性(74)は、慣れることなく今なお、戦闘攻撃機の爆音に悩まされている。爆音は深夜まで続くこともあり、頭痛やノイローゼを訴える人もいるという。

 昨年、騒音や上空飛行で市に寄せられた苦情は1194件。移転が計画されている米海軍厚木基地の艦載機部隊は、離着陸を繰り返すタッチ・アンド・ゴーの訓練で有名だ。移転後は騒音がさらに増すことが予想されている。「以前1週間ほどタッチ・アンド・ゴーをやられたときは、たまらんかった。あんなのが59機も来たら…。選挙では当然、井原氏を支持する」と男性は話す。

 治安悪化への不安も根強い。

 岩国基地では、滑走路の沖合移設事業が進み、埋め立て用の土砂が削られた市内の愛宕山には、米軍住宅が建つ可能性が高まっている。

 愛宕山の近くに住む主婦福田雅美さん(46)は、「基地周辺では米兵の当て逃げや敷地への侵入も聞く。移転で基地が増強されたら100年は動かない。子供たちの分まで、2票分の意味を込めて井原さんに投票する」。

 一方、地元経済界を中心とした福田氏支持派には、反対を続けることで国からの補助金を受けられなければ、市の財政危機が深刻化するという懸念と、移転による経済効果への期待もある。

 かつて、ベトナム戦争で特需に沸いた繁華街には、今、閉塞(へいそく)感が漂う。60代のタクシー運転手は「公共工事も減ったし、飲み屋もだめ。わしら、どれだけ行き詰まっとるか。(井原さんの)顔を見るのも嫌じゃ」。

 空き店舗が目立つJR岩国駅前の商店街の自営業男性(49)も「移転反対は正義かもしれないが、現実性がない」と井原氏の手法を批判。前回、井原氏に投票したという女性(61)は、今回は変化に期待して福田氏に投票するつもりという。

 市街地を分断し、建物の高さ規制でまちづくりを阻む岩国基地。約15万人の人口は、基地がなければ50万都市になっていたともいわれる。

 「移転を認めた上で、その分の負担を国に求めるべきだ」なのか、「騒音や治安問題など、基地があるから企業も逃げる」と移転を拒むべきなのか。答えを出すのは簡単ではない。

 ただ、選挙結果にかかわらず、国は移転方針を変えるつもりはないようだ。石破茂防衛相は言う。「市長選で民意がどう出るか、当然関心は持っているが、米軍再編の一環として移転を進めるスタンスに変更はない」

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