2007-02-22 イルカって
岩手のスーパーで「イルカ」を見たことがないことに気がついた。
仕事場の友人にそのことを話したら、「え、イルカを食べるの?」とビックリされた。
私を顔を、はるか南の島の原住民を見るような目で見た。
あんなに人なつっこくてかわいいイルカを食べるとは、なんと残忍で恐ろしいことかと言わんばかりだ。
イルカは秋田では昔から普通に食べられてきた。
ゴボウ、ニンジンと一緒に醤油で煮詰めるとおいしい。
そんなに驚かれると急に何かとても後ろめたい気がしてくる。
今まで何の疑問も持たなかったが、こんなふうに言われると秋田県民全体の名誉にかかわるような気がしてくる。
四国、香川の友人に話をしてみたら、「佐々木さん、それはイルカじゃなくてクジラの一種でしょう」などという。
イルカを食べることを想像すらできないようだ。鳥取あたりでサメのことをワニと呼ぶということを聞いたことが
あるが、私が言っているのはまぎれもないイルカだ。
で、調べてみた。
結果、このことは捕鯨の問題と似ていることも分かってきた。
イルカの捕獲や食べることに反対する人はかなり多い。鯨と少し違うのは、鯨の場合は種の保存というか水産資源
としての保護の面があるのに対して、イルカの場合は、「かわいいから」とか「殺すのはかわいそうだから」と
いった心情的なものが前面に出ている。中には「あたまがいいから」という理由もあった。
ではあたまの悪いマグロ(マグロさんゴメン)は殺されてもいいのか、などと反論したくなる。
(あたまが悪いという言葉に私は敏感)
それはともかく、このことを議論していくと「食文化」というものにつきあたる。
韓国や中国の犬食を非難すれば、彼らは日本人が馬を食べることに言及する。
ほかにも日本人から見ておどろくようなものを食べる民族は数多い。
結局はそこに住む人の食文化について他人が非難することは適切でないということのような気がする。
ちなみに日本全体を見てもやはりイルカを食べる県はそれほど多くないようだ。
静岡県では秋田県と同様、昔から郷土料理のように日常的に食べられてきたという。
一方捕獲をしている県の状況だがこれも意外に少ない。数県にとどまる。
平成15年の捕獲量の数字があったのであわせて書くと、
全国で16,800頭。そのうち岩手県が13,536頭、続いて北海道の1,765頭、
そして和歌山県の1,186頭、そして宮城県の313頭となっている。
(http://www.all-creatures.org/ha/saveWhaleDolphin.html)
岩手県の捕獲量が全体の80%を占めていることに驚く。
当地では県内各地の漁港からのニュースが度々流されるが、「イルカが水揚げされました」
などというニュースは見たことがない。
それほどタブーということなんだべが。