氷雨の辛い季節になりました。皆さん、お元気でしょうか。 先頃、皆さんから千数百通にもおよぶ米価等についての要請ハガキを受けとりました。市町村ごとに分類して、一枚一枚、丁寧に読みました。どのハガキにも、 昨年来の『品目横断的経営安定対策』の説明不足も手伝って、最近、自民党農政批判は各地で非常に強くなっていることを、私もひしひしと感じています。一方で、自民党も今年9月以降、米価対策および品目横断の見直しに全力を挙げてきました。変化しつつある見直しの内容と、その成果についてもう少しご理解をいただきたく、この書状をもって現在の状況をご報告することとします。 1. 米価対策について(1)政府買い上げの効果
今年、米価は1俵3,000円下がるというような噂が広まっているようですが、これはまったくの誤解です。元々は農協の全国組織である全農が「仮渡し金を今年は7,000円に下げる」と言ったことから生じた誤解のようですが、実際のところ、9月頃の米市場での相場を見ても平均1,300円下げというのが実態でした。その相場も、10月26日に発表した自民党の米対策によって少しずつ元に戻っていて12月5日現在では、平均700円ほどの下げに持ち直し、中でも流通量の多い新潟コシヒカリは、去年に比べ730円アップになりました。 これは、政府が34万トンを買い上げて備蓄にまわし、それ以外に全農の保管米10万トンをエサ米に回すという決定をした影響だと思っています。決断の効果が現れて、正直ホッとしています。 (2)過剰作付けの影響それでも米の値段に力強さがないのは、過剰作付けがあるからです。要請ハガキの真ん中の四角い枠のなかには、6〜7割の人が「米価の下落は減反を守らない人による過剰作が原因だ」と書いてきました。私もまったく同感です。別表1をご覧ください。平成15年、米の相場は一挙に1俵5,000円上がりました。その年の作況が「90」の不作だった影響です。見逃せないのは、その年まで減反はきっちり守られ、違反者は全国で0.01%しかいなかったのに、5,000円の値上がりを見た翌年、多くの農家が違反して過剰作付けを行ったという事実です。違反面積は、別表2のとおりです。 次の年以降も、さらに減反未達が続き、さらに米価が下がりました。そしてついに今年は、実に71,000町歩の減反違反があり、価格水準は14,000円まで下がるという結果になったわけです。 どこの県が違反しているのでしょうか? 別表3をご覧ください。71,000町歩のうち実に13,400町歩は福島県です。次いで千葉県の12,600町歩、茨城県7,600町歩、秋田県4,700町歩、新潟県4,800町歩……と続きます。山形県も実は1,900町歩の減反未達があり、悪い方から数えて12番目です。それでも東北地方のなかでは守っているほうです。 このように、いかにきちんと減反を達成するかどうかが、今後の米の価格を決める最大のポイントになります。多くの人がハガキに書いたように、農協任せでは減反達成はできません。政府も積極的に関与して、守ってもらうように必死に努力する決意をしました。 表1表2表3(3)もし、減反政策を撤廃したら?このように減反をすれば値段が上がる、違反者が多いと値が下がるという関係は明らかなのですが、もし誰も減反しなければどうなるでしょう?「作る自由に売る自由」を実施したら……まだ誰にも分かりませんが、おそらく今より5割以上米生産が増えて、1俵6,000円くらいにまで下がるような気がします。減反をしっかり守れば、15,000円〜20,000円の範囲の中での変動に収まるでしょう。また世論調査からみても、その水準なら消費者も納得するように思います。ぜひ、皆さんも県内の仲間はもちろん、福島県や千葉県の知り合いに減反を守るよう呼びかけてください。 2.品目横断的経営安定対策について次に、品目横断について申し上げます。この政策に参加して「認定農家」になったり、「集落営農」を組織した場合は、米の値段が仮に1俵2,000円下がっても、その9割の1,800円は「収入減少影響緩和対策(ならし)」で、農家に補填金が支払われる仕組みになっています。 「でも、実際には1,200〜1,300円の価格下落分の用意しかしていないという噂じゃないか」という人がいますが、その心配はありません。年末に決める予算で、9割はきちんと補填されるようにしますので大丈夫です。 品目横断政策には、これ以外に農機具を新たに購入した場合には、自己負担分の一定額を政府が補助し、残りは安い政府系融資(スーパーL資金)で援助するという魅力的な政策もあります。これに対しても、 「この政策に参加するのは4町歩以上、ないし集落営農では20町歩以上という厳しい縛りがあるじゃないか、やっぱり自民党の政策は大農家中心だ」 という批判があります。 そこで今、我々は上述の面積要件に至らなくても、「水田農業推進協議会」(産地作り交付金の配分を決めている協議会)で認められれば、市町村が認定できるという方法に変えたいと思っています。 |
以上が、見直しの概要です。この途中経過報告をもって、現時点での私から皆さまへの返答とさせていただきます。 引き続き、地元の農家の人々のご意見をうかがいながら、農政に反映させていきたいと思いますので、何卒ご理解をいただきますようお願いいたします。 12月吉日 加 藤 紘 一 |
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