「井戸を掘るなら水がわくまで掘れ」とは、明治時代の秋田県の農村指導者で「聖農」と尊敬を集めた石川理紀之助の言葉だ 福田康夫首相が施政方針演説で、懸案解決へ「どんな困難があろうとも、あきらめずに全力で結果を出す」と決意を示した際に引用された。その理紀之助の生涯は、自ら農民とともに働き、智恵を絞り貧農の救済に尽くしたものだったようだ 社会経済生産性本部の意識調査では、昨年の新入社員の34%が終身雇用を希望しているという。終身雇用派の増加は三年連続で、新入社員は意外と保守的で安定志向であることがわかる 大田弘子経済財政担当相は「日本は、経済は一流と呼ばれる状況でなくなった」と言った。その表れなのか、企業の非正社員の増加や、ワーキングプアと言われる働く貧困層の拡大が問題となっている。新入社員の意識調査で終身雇用派が増えているのもうなずける しかし、終身雇用といっても世の中そう甘くはない。高度成長期の歌の文句にあった「気楽な稼業ときたもんだ」のような仕事なんかあるわけがない。まずは理紀之助のように、水がわくまで全力で井戸を掘ることか。
|