社会
古参組長に退職金1億 山口組も若返り?
準構成員も含めると約四万人を抱える全国最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)が、引退する直系組長に“功労金”として一人あたり一億円を支払っていたとみられることが、兵庫県警などの調べで分かった。二〇〇五年夏に十六年ぶりにトップが交代したのに伴い、長年、組の中枢にいた古参組長への肩たたきが活発化しているという。県警は、違法手段で集めた巨額の金を組織の世代交代に使っているのではないかとみて、資金の流れの解明を急いでいる。
県警によると、二年半前に篠田建市組長=服役中=が、山口組六代目組長になってから〇七年末時点で二十二人の直系組長が離脱。このうち組から追放された破門などのケースを除き、少なくとも十七人に功労金が支払われたとみている。
功労金が支払われたのは六代目体制になってからで、資金は九十二人の直系組長からその都度約百万円ずつを集めるため、工面に窮する組長もいるという。
引退した組長の多くは、一九五〇年代以降、山口組が全国に勢力を拡大したころに直系になった古参。昨年十月には、神戸を拠点とし、九七年の最高幹部射殺事件で現場のホテル喫茶店に同席していた岸本才三・岸本組組長も退いた。功労金が減額された-との情報もあり、県警は新執行部が当初見込んでいた世代交代を達成しつつあるのではないかとみている。
短期間にこれほどの規模で入れ替わるのは異例。直系組長の平均年齢は五代目組長在任時は六十歳を超えていたが、四十代の若手が一気に直系組長に昇格、急激に若手の登用が進んでいる。篠田組長が直系組長となったのは四代目体制が発足した一九八四年で、県警幹部は「組長よりベテランの組長は、扱いにくい存在。忠誠心がある若手組長に交代させたいのだろう」と分析するとともに「不透明な資金の流れを解明できれば、事件の手がかりになるだけでなく課税で追い込むこともできる」とみている。
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