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R8Cマイコン用デバッガのインストール(1/2)

 ルネサステクノロジ社(以下ルネサス社)のR8Cマイコンのソフト開発ツールHEW4(High-performance Embedded Workshop)のインストール手順をレポートしました。これだけだとプログラムの作成とシミュレーションしかできません。
 今回は、R8Cマイコンに書き込むデバッグ・プログラムのインストール手順を2回でレポートします。

 まず最初に、ルネサス社のソフト開発に関する情報ページを紹介し、続いてR8Cマイコンに書き込むプログラム、「M16C R8C FoUSB/UARTデバッガ」のインストール手順をレポートします、このデバッガ・プログラムは先にインストールしたHEW4に追加する形でインストールされます。

 R8Cマイコンに書き込むためにプログラムは、次のようなものがあります。今回のレポートは、2番目のシリアル接続で行うものになります。シリアル接続で使うシリアル基板(アダプタ)は1番目の書き込み専用プログラムで使用するものと同じです。

  1.  先にレポートした「フラッシュ書き込みツール」の書き込み専用プログラム
  2.  シリアル接続の「R8C UART モニタ・プログラム」(デバッグ可能)
  3.  純正E8/E8aエミュレータ・アダプタ用プログラム(デバッグ可能)

 今回のレポートは現在、店頭で手軽に入手可能なDIPパッケージのR8Cマイコン、R8C/15を使うことをベースにしています。

 執筆時点、これからインストールしようとしているのデバッグ・ツール「M16C R8C FoUSB/UARTデバッガ」がサポートしているマイコンはR8C/25までです。秋月電子で販売しているR8C/29など、R8C/26以降のマイコンをサポート時期は未定との回答がありました。
 また、これらのマイコンがサポートされた場合でも、AutoUpdate機能では最新モジュールに更新されないそうです。今インストールすると、再インストールが必要となるとのことです。新しいマイコンでソフト開発をしようと思っている方は、注意してください。
 なお、これらがサポートされた場合はWebなどで公開するよう検討中だそうです。
 一応、サポートされるのを待ってレポートを書く予定でいましたがリリースされないので、見切り発車します。気になる方は直接メーカに問い合わせください。

 
1.はじめに
 ルネサス社のソフト開発に関する情報、R8Cマイコンのソフト開発環境などの説明は、ホームページに詳しく書いてあります。筆者の記事はこれを読み、試してみたレポートです。
 技術力のある方や詳しく知りたい方はここで紹介するメーカのホームページなどを参照ください。このBlog記事に書いてない不足分や詳細はこのルネサス社のページに情報があります。また、不明点などを質問する窓口もあります。

 記事は初めてR8Cマイコンを使う方に、関係ありそうな手順などを簡単に紹介しています。実際にインストール作業する方は、メーカのドキュメントなどを読みながら行ってください

 まず、ルネサスのマイコンについては、下記画面の「はじめてのルネサスマイコン」で示すように、全体を紹介するページがあります。

はじめてのルネサスマイコン

08119hajime01.JPG
 ここでは、R8C/15マイコンが個人向けに出現したトランジスタ技術誌2005年の頃から比べると、新しいページが作られています。このページの目的として、下記の文章がありますように、かなり詳しく説明されています

%%%%転載
はじめてのルネサスマイコンは、「ルネサスマイコンのことがよく分からない」というお客様に、ルネサスマイコンについて簡単に知っていただくためのページです。
%%%%

 また、ソフトの動作環境では、Windows Me、Windows 98、Windows 98SE およびWindows NT 4.0 のサポートを順次終了し、Vistaのサポートを順次開始となります。


 さらに先に進めると、R8Cマイコンについては、「はじめての R8C/Tiny」ページに説明されています。

 はじめての R8C/Tiny

08119hajime02.JPG

 このページより、R8Cマイコンの各種ドキュメントなど、詳細な情報が入手できます。

 ただ、R8Cマイコンにはかなりの種類があり、それぞれ関連するプログラムやドキュメントが多くあります。ここ「初歩のマイコンBlog」としては、一般に入手可能なR8C/15マイコンに限定したレポートを行うことにします。

 R8Cマイコン関連書籍として、次のものが掲載されています(すべてCQ出版社のもの)。

 
 さて、今回のデッガ・プログラムのインストール手順レポートの参考となるページに進めます。HEW4でコンパイルなどビルドが完了したモジュールをマイコンに書き込むには、書き込み(デバッグ)プログラムをインストールすることになります。その説明は、下記の「ツールについて」にあります。


【はじめての R8C/Tiny】 ツールについて

08119hajime03.JPG

 執筆時点、ここには古いR8C/15マイコンがもうすでに掲載されていません。そこで後継の「R8C/18~R8C/1Bグループ」にある「R8C/1Bグループ開発環境」を見ることにします。

R8C/1Bグループ開発環境

 ここを見ると、R8Cマイコンに書き込むために必要なプログラムは最初に紹介したとおり、次の三つになります。

  1.  「フラッシュ書き込みツール」の書き込み専用プログラム
  2.  E8/E8aエミュレータ用プログラム
  3.  R8C UART モニタ・プログラム


安価なシリアル基板で書き込みおよびデバッグが行える、「R8C UART モニタプログラム」のところをクリックして進めます。

 

08119hajime04.JPG


モニタプログラムのページ R8C UART モニタプログラム

08119hajime05.JPG

 この「R8C UART モニタプログラム」は、R8C/Tinyシリーズ対応のモニタ・デバッガです。デバッガを起動したとき、自動的にモニタ・プログラムがR8Cマイコンに書き込まれます。これにより、マイコンが搭載されたターゲット基板上でマイコンへのプログラム書き込みおよびオンチップ・デバッグができるようになります。


 参考までに、全体のデバッグ環境の説明はここで見ることができます。

   High-performance Embedded Workshop(HEW)デバッグ環境

 この画面の右側にある「すべての情報を見る」をクリックすると、ページ内の全内容を見ることができます。

 
2.デバッグ・アダプタについて
 このデバッガ・プログラム「M16C R8C FoUSB/UART」は、パソコンのシリアル・ポート(RS232C)にマイコンを接続して使います。このためシリアル変換回路を準備(製作)する必要があります。これは「フラッシュ書き込みツール」の書き込み専用プログラムで使うものと同じものです。
 このプログラムは、シリアル変換回路(アダプタ)を実際に動作するターゲット基板に接続し、マイコンへの書き込みとデバッグに使用します。とくに書き込み器(ライタ)は必要ありません。

 マイコンとの接続図はダウンロードで紹介した「モニタプログラムのページ」に書いてあります。
  R8C UART モニタプログラムのページの「すべての情報を見る」をクリック

 シリアル変換回路(アダプタ)を接続するポート端子P3_7(TxD出力)は、シリアル・データの出力端子、5kΩ程度のプルアップ抵抗を接続します。ポート端子P4_5(RxD入力)はシリアル・データの入力端子です。発振回路は20MHz水晶発振子などを接続します。MODE端子はGNDに接続するとプログラミング&デバッグ・モードになり、プルアップすると実行モードになります。

 シリアル基板は、例えばトランジスタ技術誌2008年1月号の付録基板などで製作できます。基本的にはレベル変換IC(秋月電子ではコンデンサ付セットあり)と9ピンのD-Subコネクタです。基板はユニバーサル基板でも作れます。

08119IMG_2765.jpg

 これを組み立てると、シリアル基板が完成します。

08119IMG_2781.jpg

 サンハヤトから販売されている、シリアルIC付の「R8C/15搭載マイコンボード MB-R8CS」のように、あらかじめシリアル回路があるような場合はシリアル基板の製作は不要です。

 技術力のある方や詳しく知りたい方は、ここまでで紹介したルネサス社のページに書いてありますので、参照してください。

 次回では、このページの情報に従ってインストールをしてみます。

後田 敏

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