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  • 最新号 2008/01/21
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2008/01/21

もろずみ総研メールマガジン 第121号

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 もろずみ総研メールマガジン 第121号 ======================== 2008/01/21
 
 【新春スペシャル】 年頭所感 ▽4回シリーズ 3/4
 
 ◆日本の自動車“省エネ”は進んでいるのか?◆
 
  なにやかやと慌ただしくしている間に、1月も半ばをすぎてしまいました。
 「2008年の自動車とその社会はどう動いてゆくだろうか?」というテーマで
 もう少しお話しておきたいこともあって、ここは少し筆を“加速”させない
 といけませんね。(笑)
 
   今回のテーマは…
 
 ●地球温暖化問題+原油価格上昇→「燃費」「燃料」への意識変化はおこる
 か?
 
  昨年12月にバリで開催されたCOP13、すなわち「気候変動に関する国際連
 合枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change/
 略してUNFCCC, FCCC)における条約締約国会議(Conference of Parties)
 の第13回では、先進国側、とくに欧州と、アメリカと、そして中国やロシア
 を始めとする開発途上/進行中の各国地域との主張がぶつかりあって、結局、
 世界的な行動指針はいまだ「総論」に終始しています。
 
  思えば、「温室効果ガスの排出量を1990年の水準に戻し、安定させる」こ
 とを目標に定めたCOP3、京都会議からもう10年がすぎた…。
 
  日本はあの時点で「6%削減」を約束したのだけれど、じつは逆に増えて
 いる。CO2に絞ると、1997年に対して2004年時点で4%強も増えている。そこ
 から1990年のレベルまで落とすとすれば、最近の排出量に対しては12%ほど
 も削減しないといけない。
 
  日本は「省エネルギー先進国」だという論調が、COP13関連の報道でも繰
 り返されたし、政治や行政の中枢でも、とりわけ今年の『洞爺湖サミット』
 に向けて、それが既定事実のように物事が語られています。しかし、ほんと
 にそうなのでしょうか?
 
  たしかに省エネルギー化の「技術アイテム」はたくさんある。そして、あ
 る特定の状況や産業においては、エネルギー消費削減目標を達成することは
 できている。こういう「数値目標の達成」は、日本が得意とするパターンで
 はあります。
 
  でも我々の身近なところで、自動車を走らせて消費しているエネルギー、
 そこで排出されているCO2について、少し冷静に状況を見渡すと…。
 
  十年前の1997年、日本国内で1年間に消費(販売)された自動車用の燃料
 油の総量は、ガソリンがおよそ5430万キロリットル。軽油(ディーゼル燃料)
 は4500万キロリットル。合わせてほぼ1億キロリットル(!)でした。ちな
 みに1987年はガソリンが3970万キロリットル、軽油が3200万キロリットル。
 この十年間でおよそ40%ほども消費量が増えていたのです。
 
  これに対して今は…。
 
  ガソリンの販売量は2005年に約6160万キロリットルに達し、さすがに2006
 年はガソリン価格の上昇を反映して減少に転じた、とはいうものの…。6084
 万キロリットル。2007年も最終統計値はまだですが、途中の数値ではほぼ横
 ばい。つまり我々は十年前と比較して12%も多くのガソリンを消費している
 のです。
 
  これに対して軽油は06年が3678万キロリットル。すなわち18%強も消費が
 減りました。ディーゼル・エンジンで走る商用車、とくにトラックは、輸送
 業界・物流業界の企業努力、たとえば混雑を避けて移動ルートをリアルタイ
 ムで選択するとか、集配業務やルートの効率化などで燃料消費を着実に削減。
 さらにはドライバー・トレーニングの効果もかなり大きい、と聞きます。い
 まや自動車メーカーが新車の販売とセットで実施。また運転の内容を記録し
 て分析する機器・システムも用意するなど、経験的にではなくデータに基づ
 いて「燃費の良い運転」へと導いているのです。
 
  逆にガソリン・エンジンで走る乗用車は、まず台数そのものが保有台数ベ
 ースで見ると1997年の4720万台から2006年は5710万台へ、約20%増えていま
 す。そこから単純計算すると、1台あたりの年間消費量は1997年が1150L、20
 06年が1065L。皆が同じようにクルマを使っていると仮定して、燃費は平均8
 %向上したことになります。何ともラフな計算ですが。
 
  ところがこの間に、カタログに記載されている「燃費」の平均値は12.6km
 /Lから15.5km/Lへ、じつに23%も向上した、とされています。十年の間にク
 ルマが新世代へと入れ替わってゆく。その中で古いクルマが残っている比率
 を考慮しても、この「カタログ燃費」の向上が日本車の「実力」だとすれば、
 日本で走っているクルマの燃料消費量の平均値は12〜15%改善され、ガソリ
 ン使用総量(販売量)は5500〜5600万キロリットル/年の「微増」に止まっ
 ているはずです。
 
  つまり、自動車メーカーや行政、あるいは研究者など様々な分野の人々が、
 そしてメディアや一般のユーザーが、ごく表面的な数字を見て信じ込んでい
 るほど「日本車は燃費が良い」=「CO2排出量」が少ないわけではない。こ
 んな簡単な数字の確認だけで、それが明らかに見えてくるのですが。なぜか
 皆がそこから目を背けている。というより、現実の燃費の検証をしないまま、
 ずっと過ぎてきているのです。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【新春スペシャル】 年頭所感 ▽4回シリーズ 最終回
 
 「2008年の日本自動車社会は…」というテーマでお送りしてきた年頭所感。
 「燃費=CO2排出」と「燃料」の後半を残すのみです。最終回の次号は「日本
 車は"実用燃費"が良くない〜CO2削減=燃費大幅向上に動く欧州」「ガソリン
 価格は?」「エコな燃料?」をテーマにお送りする予定です。(千)
 
 つづきは次号(配信予定 1月23日 水曜日)
 
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