現在位置:asahi.com>社会>裁判> 記事

国が逆転勝訴 武富士元会長の長男の課税めぐる訴訟

2008年01月23日15時07分

 消費者金融大手「武富士」の元会長(故人)らから長男の武井俊樹氏(42)に贈与された海外法人株をめぐり、武井氏が「海外に居住していたので課税されない」として約1330億円の追徴課税処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(柳田幸三裁判長)は23日、請求を認めた一審・東京地裁判決を取り消し、国側の逆転勝訴とした。高裁は、武井氏の海外居住には課税逃れの目的があったと認定し、課税処分を適法と判断した。

 00年度の税制改正前は海外に住所があれば課税されなかった。99年に贈与を受けた武井氏は、当時は香港が「生活の本拠」だったとして税務申告しなかった。国税当局は税逃れのために海外に移住したとみて、約1650億円の申告漏れを指摘。武井氏は約1585億円を納付したうえで争っていた。

 訴訟では、武井氏の「生活の本拠」が日本と香港のどちらにあったかが争点となった。一審判決は、武井氏が97年に出国してから約3年半の間に約4分の1の日数しか日本にいなかったことなどを挙げ、「日本を生活の本拠と認定するのは困難だ」とみて、課税できないと判断した。

 高裁は最高裁判例を引き、「滞在日数を形式的に比較して、それを主な要素として住所を判断すべきではない」とする基準を示した。

 そのうえで武井氏が、税を回避できる状況を整えるために出国し、贈与された後にも国内の滞在日数が多すぎないように日数を調整していた▽武富士の役員として日本が職業活動上最も重要な拠点だった▽都内の自宅は家財道具を含めて出国前のままの状態だった――といった事情を列挙。「香港の自宅は武井氏の生活の拠点であったものの、生活全体から見れば生活の本拠と言うことはできない」と結論づけた。

PR情報

このページのトップに戻る