実験用の特殊な細胞の中でしか増殖できない、無害なエボラウイルスを作り出すことに東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究チームが成功した。エボラウイルスは致死率が高いエボラ出血熱を引き起こすため、これまでは一部の施設でしか扱えなかった。改造ウイルスは一般的な実験室で扱え、研究チームは「ワクチンや抗ウイルス薬の開発が進めやすくなる」と話している。近く、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
エボラウイルスは八つの遺伝子でできている。河岡教授らは、増殖に不可欠な「VP30」というたんぱく質を作る遺伝子を除いた七つの遺伝子を使って、ウイルスを合成した。
このウイルスはVP30を作り出すように操作した特殊な細胞の中でしか増殖できないが、形態などその他の性質は通常のエボラウイルスと同じで、実験に利用できることを確認した。【須田桃子】
毎日新聞 2008年1月22日 19時48分 (最終更新時間 1月22日 20時04分)
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