1949年に奈良・法隆寺金堂の火災で国宝の壁画が焼けたのを機に制定された1月26日の「文化財防火デー」に合わせ、市町村が毎年行うことになっている文化財の防災訓練が、昨年は国の通知に反し全体の5割超で実施されなかったことが22日、文化庁の初の全国調査で分かった。

 法隆寺の教訓が風化し、文化財に対する防災体制の形骸化が進んだことが背景とみられるが、火災による焼失や破損は文化財保護法が制定された50年以降、国指定文化財だけでも建造物82棟、美術工芸品27点と後を絶たない。

 調査は昨年の防火デーの後、仏像や絵画、建造物など国や自治体指定の文化財がある1749市町村を対象に実施した。

 その結果、寺院、神社での避難や建物への放水、文化財の緊急避難といった防災訓練を実施した市町村数は全国平均で49%にとどまった。都道府県別では北海道の15%が最低で、長野の21%、沖縄22%と続いた。最高は広島の87%だった。