昨年の映画やドラマなどの輸出額が、4年ぶりにマイナス成長となる見通しだ。背景には、日本などアジアでの韓流のかげりがあるとみられる。新政権は文化関連の部処(省庁に相当)を一元化し、国を挙げて文化輸出を促進して韓流を活性化させる方針だ。
韓国銀行によると、昨年1〜11月の音響・映像サービスの輸出額は1億3,830万米ドル(約147億1,000万円)で前年同期比8.65%減少した。12月分はまだ集計されていないが、昨年の年間輸出額は2006年(1億6,920万米ドル)を下回るとみられる。
同分野の輸出額は03年の2,790万米ドルから04年は5,570万米ドル、05年は1億2,720万米ドルと年々増加していた。
文化日報によると、輸出額の減少の背景には、日本や中国などアジア地域で韓流が下火になっていることがある。
韓国映像産業振興院によると、日本で韓国ドラマを定期的に放送する地上波放送局は05年の65局から昨年(8月時点)は29局に減少した。映画振興委員会の資料によると、06年の韓国映画の輸出額は2,451万米ドルで前年比68%減少。特に、日本向け輸出は6分の1まで急減した。
中国では、韓国ドラマに対する審議が保留されたり、輸入企業に対する管理監督を強化するなど規制を強化するケースが増えているという。
サムスン経済研究所の研究員は、「ありふれたストーリーやスターに依存したマーケティングなどで韓流の人気が落ちているほか、嫌韓流の動きも輸出の妨げとなっている」と話している。
■新政権も文化産業強化
一方、政権引き継ぎ委員会はこのほど発表した政府組織改正案で、従来の文化観光部に国政弘報処と情報通信部の一部機能を移管した「文化部」を発足する方針を明らかにした。
文化部は、韓国が次世代の成長エンジンとして育成するコンテンツ産業に関する政策機能を一元化し、文化輸出を活性化させ、文化産業5大国入りすることを目的にしている。
これまでは、映画や歌謡、キャラクターなどの文化コンテンツは文化観光部、インターネットなど情報技術(IT)産業を基盤としたデジタルコンテンツは情報通信部にそれぞれ分担され、業務の重複や効率性の低下が指摘されていた。また、これまで国政弘報処が行ってきた海外広報機能を文化部に移管する。
文化観光部の関係者は、「このまま国内市場にとどまっていては文化産業の5大国入りは難しい。海外広報の機能と文化輸出拠点を一緒に活用できれば、韓国文化輸出の原動力となる」と話している。
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