津市の国立病院機構三重病院(庵原(いはら)俊昭院長)の小児外科で05年2月、「鼠径(そけい)ヘルニア」の女児を手術した際、二つある卵巣のうちの一つを誤って切除していたことが、22日分かった。
「鼠径ヘルニア」はヘルニアの一種で、脚の付け根に腹膜が「ヘルニア嚢(のう)」となって残り、内部に腸や卵巣がはみ出す。病院によると、この女児は県内在住で手術当時生後9カ月だった。05年2月1日午後2時ごろ、小児外科医長(現・小児外科部長)が切除手術を行った。術後、切除した部分に腫瘤(しゅりゅう)が見つかったため、三重大病理部に組織検査に出したところ、同月17日に腫瘤に卵巣が含まれていた。卵管と卵巣が離れている特異な事例で、事前の検査や手術中でも分からなかったという。
執刀医が直接、女児の家族に事故について説明し、同月20日ごろ、国立病院機構本部(東京都)に報告書を提出した。
病院の井口光正副院長は「結果として事故だったが、特異な事例で避けることができなかった。過失とは考えていない。家族には手術前に事故の可能性があることを説明し、承諾を得た。手術後に家族に謝罪し、納得してもらえた」と説明した。【高木香奈】
〔伊賀版〕
毎日新聞 2008年1月23日