◇保険適用されず課題も
池に落ちて一時は心肺停止状態に陥った愛知県の玉越光ちゃん(3)が回復したのには、「脳低温療法」という高度医療が大きく貢献した。ただ、今回の治療には保険が適用されないため、費用は県立こども病院側の「持ち出し」で行われた。今後も病院側の負担をずっと続けることは難しく、医療の高度化に応じた保険制度づくりなどが望まれる。
「脳低温療法」で保険が使えるのは心臓血管外科のみ。保険が適用されなければ100万円単位の治療費が自己負担になる。医療費の負担を決断した同病院の吉田隆実院長は「(保険適用外でも)患者が助かる可能性のある治療法があれば、それにかけるのが医師の務め」と話す。
同病院を含めた県立3病院が独立行政法人に移行する09年度以降は、病院の支出へのチェックは厳しくなる。救える生命を確実に救うためにも、医療と負担の関係について、県民の強い関心と議論が求められる。【鈴木直】
毎日新聞 2008年1月23日