「社会保障費削減は限界」元厚労相が意見

 政府の方針のもと社会保障費2,200億円が毎年削減されていることについて、自民党の尾辻秀久・参議院議員会長(元厚生労働大臣)は1月22日、参院の代表質問で、「社会保障費を削るのはもう限界。2009年度予算では削減を行わないと約束していただきたい」と意見するなど、政府に方針転換を迫った。福田康夫首相はこれに対し、「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指さなければならず、社会保障費をはじめ、引き続き歳出抑制の努力が必要」と答弁し、これまでの考えを崩さなかった。

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 政府は「骨太の方針06」の中に、財政健全化の指標である基礎的財政収支を11年度までに黒字化する目標を明記。これを達成するため、毎年2,200億円の社会保障費が削減されている。
 これを受けて尾辻議員は「社会保障費を削るのはもう限界。乾いたタオルを絞っても水は出ない」と主張。次回の概算要求時期を見据え、「09年度予算では削減を行わないと約束していただきたい」と要望した。
 これに関連し、社会保障費の削減を求めてきた「経済財政諮問会議」の在り方にも言及。同会議の民間議員の選任が国会による同意案件でないこと、また同会議が「格差を広げてきた」ことにも疑問を投げかけた上で、「議院内閣制の下、どのように運営していくのか」と質問した。
 さらに尾辻議員は、福田首相が施政方針演説で表明した「社会保障国民会議」にも触れ、「社会保障費をいかに抑制するかではなく、総理の言う『消費者』『生活者』の視点から、どのようなサービスが必要なのか、それを支えるために政府や国民がどのような役割を負うべきかについて広く議論してほしい」と求めた。
 質問の途中、野党議員の席からも大きな拍手がたびたび起こった。

 社会保障費の削減をめぐって福田首相は、「将来の世代に負担を先送りしないためにもプライマリーバランスの黒字化を達成すべき」と強調。「急速な高齢社会の進展に伴い、経済の伸びを上回ると予測される社会保障費をはじめ、引き続き歳出抑制の努力をしなければならない」と答えた。
 経済財政諮問会議については「あくまで首相の諮問機関」と説明した上で、「わが国の経済が直面する課題克服に向けて精力的な調査・審議を行ってもらいたい」という見解を述べた。
 これに加え、社会保障国民会議に関しては、「国民の立場で制度を再構築するという視点に立ち、社会保障のあるべき姿をはじめ、その中での政府の役割などについて議論する」と話した。


更新:2008/01/22   キャリアブレイン

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