2008年1月23日(水) |
生まれた時の体重が異常に小さい赤ちゃんの割合が本県は二〇〇六年、驚くほど高かった。 厚生労働省の人口動態統計によると、一五〇〇グラム未満の極低出生体重児の割合が沖縄に次ぎ全国で二番目に高かった。一〇〇〇グラム未満の超低出生体重児の割合は全国で最悪だった。 極端に小さい赤ちゃんは体のさまざまな機能が未熟で、合併症を起こしやすく、死亡する恐れもある。この状況は何としても改善しなければならない。 低体重で生まれる傾向について、本県特有の原因があるのかどうか、はっきりしない。医療関係者は「妊婦健診の未受診者が多い」「喫煙など妊婦の健康管理に問題」などと指摘する。産科医不足で近くに産科施設がないことも一因とみられる。 現状では妊婦に健診をしっかり受けてもらい、治療したり、健康管理などの指導をしていくのが現実的な策だろう。 幸い、公費負担の妊婦健診を最低でも五回にするよう、国が一年前、自治体に通知した。これで本県も公費の健診回数を増やす市町村が多くなっている。 〇七年四月一日時点では「二回だけ」というのが大半の三十三自治体で、多くても六回(六自治体)だった。ところが、〇八年四月以降は五回を予定している自治体が三十五に上る。その他に七回、十回がそれぞれ一自治体、十四回予定も三自治体あり、健診体制が充実する。 ただ、国が通達で「公費負担で十四回程度行われるのが望ましい」と書いているように、五回では足りないとするのが産婦人科医側の意見だ。自治体は耳を傾けるべきだ。経済的に残りの健診を自費で受けることができない妊婦もいるのだ。 妊婦健診を確実に受けてもらえるかどうかも問題だ。出産後に初めて母子手帳の交付を受けた例が県内で〇六年に三十三件あった。当時、公費健診は二回だったが、それさえ受けていなかったことを物語っている。 健診を受けない妊婦から生まれる赤ちゃんは体重が軽く、リスクが多い傾向がある。 未受診のまま出産間近に医療機関に駆け込む「飛び込み分娩(ぶんべん)」が県立中央病院で過去五年半に二十六例あった。半数は二〇〇〇グラム未満で三割は一〇〇〇グラム未満の超低出生体重児だった。二十六例のうち23%の赤ちゃんが死亡したという。死亡率は通常の二百倍も高い。 健診を受けない理由はさまざまだ。「何回かお産し、経験があるから」「お金がない」「入籍していない」などだ。複雑な事情もあろうが、結局は出産を甘くみているとしか思えない。 妊娠・分娩の二割は何らかの医学的な介入が必要とされる。安定期といわれる妊娠中期こそ最も気をつけなければならないことも分かってきた。だが受診しなければ、早産の危険も分からず、手当ても受けられない。 本県の新生児(生後四週未満)と周産期(妊娠満二十二週以後−生後一週未満)の死亡率が〇六年は全国二番目だった。 こうしたことがないよう、妊婦健診率を100%にする必要がある。県など関係機関に知恵を絞ってもらわなければならない。人口が減る一方の本県にとって赤ちゃんは宝物なのだ。 |