Tumblr による転載問題は、ユーザのモラルだけでなく Tumblr 自体の各種設計にも起因するのでは、と思った

http://hxxk.jp/2008/01/23/0108

記事データ

投稿者

望月真琴

投稿日時

2008-01-23T01:08+09:00

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概要

Tumblr の仕様はまだまだ改善の余地がありますし、ライセンス等をしっかりと理解して使うことで、転載に関するトラブルは減少させることができると思います。

リプライ

リプライはまだありません。

記事本文

hxxk.jp は一定のライセンスに従えば転載 OK

ここ数日、 Tumblr ( そういえば正式な表記は Tumblr なんでしょうか thumblr. なんでしょうか、 title 要素とロゴ画像で食い違っているのでよくわかりません !) というかとある Tumblr ユーザについての話題があっているので、疑問に思っていること、確認したいこと、指摘したいことを書くことにしました。

それに先立って断っておくと、 hxxk.jp のコンテンツについてはクリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-改変禁止 3.0 Unported に従えば転載していただいて構わないので、自分のサイトのコンテンツが Tumblr に転載されること自体は否定しません。 もちろん、転載ではなく引用においては全文を用いることなく、必要な部分のみを引用する形になるでしょうが、それは Creative Commons License 以前に著作権法で認められている権利ですので、改変とは捉えません。

Tumblr に post すること == Reblog ではないよね ?

Tumblr に post する時の形態は、 Text (Title と Body で構成され、自分の文章を打ち込む形 ) 、 Photo ( 画像をローカルディスクからアップロード、あるいは画像の URI を指定し、キャプションを打ち込む形 ) 、 Quote (Source にて転載元の情報を示し、 Quote 部分に転載元のページからテキストを転載する形 ) 、Link (Name と URL で構成され、画像やテキストの転載を行わずにリンクのみ作成する形 ) 、 Chat (Title と Dialogue で構成され、自分の文章を打ち込む形、 Text との違いは文字装飾が無いあたり ?) 、 Audio (Audio File と Description で構成され、オーディオファイルを投稿する形 ) 、 Video ( 動画ファイルを投稿あるいは埋め込み、キャプションを打ち込む形 ) に分かれ、かつ専用のブックマークレットをセットアップしておけば、入力欄に該当ページのテキストや画像などからコピーした状態で素早く post できるというものです。

それらの post と別にもうひとつ特別な形、他人の Tumblr から転載する Reblog があります。 これは Tumblr が単なるクリッピングサービスではなくて、 following 機能を備えたソーシャル的な面も持っているがゆえの特徴で、 following ユーザやあるいはたまたま見かけたユーザの Tumblr コンテンツを自分の Tumblr に記録しておくことができます。

今回話題になっているユーザの書いた記事のひとつにリブログの品格というものがあるのですが、この記事で言うところの「リブログ」は、どうも Tumblr に post していくこと全てを指しているように思えます。 もし Tumblr 界隈の中で、 Reblog は Tumblr に post すること全般を指すなら単に私が浅薄な理解をしているというだけのことですが、もし他人の Tumblr から転載すること以外の post は Reblog と呼ばないのであれば、リブログの品格で訴えている内容は説得力を持たないのではないかと思います。 ( 文中の「リブログ」を「 Tumblr 以外のサイトからの転載」に置き換えてみると良いかも。 もちろん、「転載でなくて Reblog なら大手を振って行って良いのか」という議論はまた別に存在します。 )

転載と引用は別、 Tumblr の Quote は単なる Copy

同じくリブログの品格からの話です。 文章の引用はブログとかよくウェブで行われていて というくだりは確かにそうでしょう。 しかし、 Tumblr で文章の引用をしても、だれも文句は言いません という点には同意しかねます。

何故なら、 Tumblr には名前こそ Quote という post 形態がありますが、この形態に関係する項目は実際に転載される文章である Quote と、転載元を示す Source の 2 つしかありません。 Quote 機能を実際に試すにあたり、まず引用部分に対する主の文を Quote 欄に一緒に書いて post してみました。 結果、引用部分と主の文の区別は明確に付けられません。 それならばと Source 欄に、転載元の情報と一緒に主の文を書いて post してみました。 この方法だと引用部分と主の文は区別されているように見えなくもないですが、そもそも Quote に対する文を書く欄を設計に組み入れていない時点で、私は Quote という機能だとは思えず、「ただの Copy じゃん」と考えました。

Quote 機能が正しく引用の要件を満たしていれば、確かに文句は言わないでしょう。 ( 実際に文句が出ることが皆無だとは言えませんが、正当な引用であれば文句を言う方がお門違いなので。 ) しかし、例え文章であっても引用ではなく転載という形になれば、これまでも何かしらのトラブルは Tumblr に限らず起こってきました。 なお、引用や転載の定義の違い、および法律上の扱いについては引用ではない引用を正当化 ? で一度書いています。

話を Tumblr に限定すると、それでも文章であれば Quote する文章量は最小限にして、 Source 欄に主の文を書くというテクニック等で、ただの転載状態になることは避けることができます。 しかし画像であれば必要な部分のみを引用することが難しいこともあり、また画像を引用する必要の正当性があることが、文章を引用することに対して少なくなるために、 文章の引用はよく行われているのですが、画像の引用はあまり見かけません という話になるのではないでしょうか。

転載を認めるライセンスを明示している場合

Creative Commons という、特定の条件を組み合わせ、その条件に従うことで転載・再配布を可能にし、著作物の流通を促進するライセンスがあります。 Public Domain など、転載を認めるライセンスは Creative Commons License 以外にもあります。 ( 例えば、 Vicuna - アイコンで配布されているアイコンは 利用・再配付・加工が自由であり、著作権に関する一切の制限はありません という形で、利用を促進しています。 )

weblog ツールの流行等もあり、 Creative Commons License を採用しているサイトは多くなってきています。

ライセンス名 表示 非営利 継承 改変禁止
表示 3.0 Unported      
表示-非営利 3.0 Unported    
表示-継承 3.0 Unported    
表示-改変禁止 3.0 Unported    
表示-非営利-継承 3.0 Unported  
表示-非営利-改変禁止 3.0 Unported  

非営利の場合に限る、再配布の際は同じライセンスを継承する、改変を禁止するといった個々の条件を組み合わせることになっていますが、共通して「原著作者のクレジットを表示する」という条件があります。 Tumblr はこの表示を行う部分が無い ( と、私が使ってみた中では思いました ) ので、現状はせっかく原著作者が Creative Commons License を採用していても、ライセンスに沿った転載は難しいと思いますが、今後改善されるかもしれない部分でもあります。 あるいは現状の仕様でも、次善策として Caption 部分にライセンスを記述するといった方法も考えられます。

リブログの品格で私が最も指摘したかった点として、コメント欄の

CCでライセンスされた画像をリブログした場合は
>著作物を引用する必然性があること
>引用先が「主」、引用部分が「従」の関係にあること
を満たすのかな?

というように、ライセンスに対する知識が欠けている点があります。 Tubmlr のように、転載をかなりの頻度で行う性質のコンテンツを運営するのなら、ライセンスについて一定の知識を得て欲しいと思いました。 もし Hetaru さんに Creative Commons License の知識が充分にあって、かつ転載元のライセンスをきちんと把握していれば、原著作者が認める転載となるであろうケースも多々あったはずです。 しかし、この時点でライセンスに対する疑問を口にしているのを見て、以前はリブログの品格も何も転載を行っていたのか、という印象を抱きました。 今回の件を元に、ライセンスや転載・引用の違いなどについて理解して、うまく Tumblr を使いこなしてくれることを期待しています !

最後に、原則論というか簡単なまとめ

リブログの品格では リブログをしているオイラたちにとっては、著作権とか関係なしに自分たちだけウハウハ出来ればそれでいいのですが という発言が、また別の方のサイトですがTumblrがないと死んでしまう人間がいることもちょっとだけ想像してください。では Tumblrを批判する人はTumblrがないと死んでしまいそうになる人がいることを想像してください。共感してください という発言があっていますが、もし原著作者が全く著作物を生み出さなくなったら、そもそも Tumblr での post を行う元が無くなるという視点が欠けているなあ、と思いました。

それと、問題の原因はtumblrというツールではなくツールを利用するオイラのモラルの低さでは 今回の問題の原因はtumblrというツールの問題ではなくツールを利用するオイラのモラルの低さでした と書かれていますが、私は Tumblr のシステム自体にまだまだ問題が内在しているのではないかと、今回の件で Tumblr について調べ、実際に使ってみて思いました。

トラックバック送信先

リブログの品格

転載は全てが悪い行為というわけではなく、また全てが認められる行為でもないので、ライセンスや使用条件など、しっかりと知識を得て Tumblr 活動に活かしてくれることを期待します。

Tumblrがないと死んでしまう人間がいることもちょっとだけ想像してください。

Tumblr への転載によって、原著作者が著作物の供給自体をストップしてしまう、という可能性もあります。

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