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愛知・設楽町のため池落下:ドクターヘリ、連携奏功 心肺停止の3歳児、静岡で退院

 今月2日に愛知県設楽(したら)町でため池に落ち心肺停止状態になった玉越光ちゃん(3)が22日、搬送先の静岡県立こども病院(静岡市葵区)を退院した。直後にドクターヘリで約80キロ離れたこども病院に運び「脳低温療法」を施したことが奏功した。光ちゃんを抱いて病院で記者会見した父の立佳(たつよし)さん(42)は「元気な顔が見られてうれしい」と話した。

 一家は正月、設楽町の妻の実家に帰省。2日午前、姿が見えなくなった光ちゃんを捜していた立佳さんが近くのため池の氷に穴が開き、ブーツが浮いているのを発見し、光ちゃんを池から引き上げた。

 愛知県のドクターヘリが出動中で、静岡県西部の聖隷三方原(せいれいみかたはら)病院のドクターヘリが小児集中治療室のあるこども病院に運んだ。治療は発見の1時間46分後に始まった。脳低温療法は体温を33~34度に保ち、脳障害の進行を遅らせる。10~30分間の心肺停止状態で、脳の組織が肥大する「脳浮腫」となる恐れも高かったが、光ちゃんは4日後に目を覚まし、後遺症もなかった。発見時に体温が28度まで下がったことで、酸素不足に耐えられたらしい。

 ドクターヘリは医療設備を備え、専門医が治療をしながら患者を運ぶ。同病院の植田育也・小児集中治療センター長は「現場は山間部で、救急車では救命は絶望的だった」と話した。【鈴木直】

毎日新聞 2008年1月23日 東京朝刊

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