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【社会】

オンラインでバイアグラも処方 丹羽郡のクリニック

2008年1月23日 朝刊

オンライン処方をしていたクリニックに立ち入り調査に入る保健所職員ら=22日、愛知県丹羽郡で

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 愛知県丹羽郡の婦人科、泌尿器科などを専門に開業しているクリニックが低用量ピル(経口避妊薬)をインターネットによるオンラインで処方し医師法違反の疑いが持たれている問題で、このクリニックが「バイアグラ」など男性向けの性的不能治療薬も同じ手法で処方していたことが22日、分かった。性病の治療薬を同じように処方していることも判明。男性院長(49)は「ピルと同様に問題はない」としているが、県はこれらについても把握しており、医師法に触れる疑いがあるとして調査を進める方針だ。

 扱っている性的不能治療薬はバイアグラのほか、「レビトラ」「シアリス」など8種類。院長は低用量ピルと同じく、電子メールで“診察”。身長や体重、狭心症でニトログリセリンを服用していないか、糖尿病や高血圧などの既往症がないかなどを聞き、2、3回のメールのやりとりで判断した上で郵送している。

 最初は用量の少ない「お試しセット」を薦め、「効き目がない」と返信されたときは用量の多い錠剤を処方している。利用件数は低用量ピルより少ないという。

 性病関係では、淋病(りんびょう)やクラミジア、ヘルペスなどの治療薬を処方している。オンラインの処方は低用量ピルが1999年に、バイアグラは2003年ごろに始めた。

 中日新聞の取材に対し、院長は「インターネットのない時代にできた医師法は現代にそぐわないとの思いから、患者の利便性のために始めた。経営に寄与しているのは確かだが、対面での診察と全く変わらない」と話している。

 医師によるオンラインの処方について、厚生労働省は「ほかに把握していない」としている。

 ■厚生労働省医事課の話…扱う薬の種類は別として、医師法20条に「診察せずに処方してはならない」と定めがあり、きちんと対面して診察し、病状を把握して用いる薬の危険性や副作用を判断する必要がある。今回のケースを一概には言えないが、現在ある法律の趣旨に沿うことが求められる。

◆県などが立ち入り調査

 愛知県と県江南保健所は22日、低用量ピルなどをインターネットで処方していた同県丹羽郡のクリニックを、医師法違反の疑いで、任意で立ち入り調査した。事情聴取や提供を受けた資料の精査を進め、違法かどうかの結論を急ぐ。

 県医務国保課の職員1人と木村隆所長ら江南保健所の職員4人の計5人が午後4時から約2時間にわたって立ち入った。

 木村所長によると、“ネット診察”の流れを中心に調べた結果、処方にあたって対面しておらず、国内で販売されているすべての低用量ピルを扱っていることを確認。利用者とやりとりしたメールの一部の提供も受けた。

 厚生労働省とも協議し、違法と判断すればオンライン処方の中止命令を出す。木村所長は「今のところ何とも言えないが、ポイントはメールでのやりとりが診察にあたるかどうかだ」と話した。

 

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