静岡市は平成20年度から、過疎化が進む山間地の井川地区(同市葵区)に自主運行バスを走らせる新たな事業の展開を検討している。現在、しずてつジャストライン(同市葵区)が市の補助を受けて、市中心部との間で1日1往復運行している路線バス「静岡井川線」は廃止される。自主運行バスは中間地点で同社の別路線「安倍線」に接続させる方針。中間地点まで有料で1日2往復させるほか、域内運行も検討している。 自主運行バスに使用する車両は10人乗りのワンボックス型。6月からの運行を目指す。市交通政策課は市の新年度当初予算に、車両2台(1台は予備)の購入費、運行を民間に委託するための委託料など約3600万円を要求している。 同市中心部と市役所井川支所がある「井川本村」までの距離は約60キロ。静岡井川線は片道2時間半かけて1日1往復している。中心部を朝、出発したバスが夕方、帰ってくるダイヤのため、井川地区の住民が市街地の病院を受診するには「2泊3日が必要」(市交通政策課)という深刻な状況が続いてきた。 一方、市から「赤字補てん」などの形で年間約1000万円の補助金を受けて路線を維持してきたしずてつジャストライン側にも、路線廃止につながる切実な事情があった。 運行する57人乗りのバスに対して域内の利用者は平均3―4人。「道路に狭わいな個所も多く、すれ違い時などの安全を確保するために運転手とガイドの2人態勢での運行になり、極めて効率が悪い。かなり以前から路線の単独維持は困難だった」(同社管理課)という。 自主運行バスと路線バスの接続は市中心部から約30キロの地点にある「横沢」バス停。料金は運行距離によって200―1200円の範囲で調整中。中心部までは乗り継ぎをしても、現行1950円の片道料金を超えない方向で検討しているという。 |