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地球の内部は「乾いていた」 マントルほとんど水分なし

2008年01月22日22時35分

 地球深部にあるマントルに大量の水が蓄えられているという説に対し、岡山大地球物質科学研究センターの芳野極(たかし)研究員(37)らのグループは、実験でマントルには水がほとんど含まれていないとする結論を導き出した。英科学誌ネイチャーに発表した。

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地球の内部構造

 約46億年前に衝突合体して地球ができた際、材料となった隕石(いんせき)には質量比で約2%の水分が含まれていた。いまの地球には、質量の0.025%の水しかない。このため、一部は宇宙空間に放出、残りの大半は地表から410〜660キロ下にあるマントル内の「遷移層」が海水の数倍の水をため込んでいるとの説が出ている。

 芳野さんらは、マントル内の鉱物である「ワズレアイト」と「リングウッダイト」を水分濃度に応じて11種類つくり、高温高圧下での電気伝導度を調べた。実際のマントルの電気伝導度のデータとつきあわせたところ、岩石に水分がない場合とほぼ同じ値になった。

 この結論について、マントル内に大量の水があるとする東京工業大の丸山茂徳教授(地球惑星科学)は「実際のマントルとは水分の含まれ方が違う可能性もある。水がなかったとまで言い切るのは難しいのでは」と話す。

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