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F.E.R.C Research Report - 新仮説解明ファイル1

「地球の磁場が消失!?人類が滅亡する!?」

hr
2003/05/25 報告

地球の危機を警告する、ある映画が制作された。その内容とは…

地球上の様々な場所で、原因不明の怪事件が多発。ある場所では鳩の大群が突如建物や車両に激突。またある場所では、心臓ペースメーカー使用者が次々と謎の死を遂げた。スペースシャトルまでもが制御不能となり、さらには、世界各地の上空にオーロラが出現。ついには激しい落雷による大災害が発生し、主要都市が次々と壊滅してゆくというもの。この映画において、異常事態の原因とされたのは「地球の『核(コア)』の運動が停止し、地球の磁場が失われ始めた」ということである。そしてその結果、人類は1年で滅亡にいたってしまうとストーリーなのだ。


2003年3月。この映画と同じようなことが実際に起こりうるとする驚くべき新仮説を唱える論文が発表された。この新仮説によると「あと100年で地球の磁場が消失する可能性があり、映画と同じような惨劇が起こる」という。一体なぜ、そんな恐ろしいことが起こるというのだろうか?


現在、地球に磁場が発生しているメカニズムは次のように考えられている。
地球の内部には「核(コア)」と呼ばれる、金属鉄で出来た部分があり、地球形成期の熱をほぼそのままに、3000度以上の高温を保っているとされる。さらに、核は固体の「内核」と、液体の「外核」の二層に分かれている。そして外核の液体は、その外側にあるマントルによって冷やされ、対流運動を起こしている。これにより、電流が発生。電流が流れるところには磁力が生まれるため、地球に磁場が作られているというのである。

しかし博士の新仮説によると、磁場が発生するのは、地球の内核の奥で直径6キロメートル大の放射性物質「ウラン」の固まりが燃えているためであるという。これにより、外核が高温になり、熱対流が発生、地球の磁場が作られているというのである。そして、このウランがあと100年で燃え尽きてしまう状態にあり、そうなると熱源を失った外核部分の対流運動が停止し、磁場が永久に失われてしまうというのだ。

博士は、核の状態を調べるため世界各地の溶岩を化学分析したという。そしてその成分データをもとにして、米エネルギー省の研究所と共同で、内核にあるウランが燃え尽きるまでの時間の計算を行なったのだ。すると、地球内核にあるウランは、燃えはじめてから最短で40億年後に燃え尽きるはずであると結果が出たという。そもそも、地球が誕生したのは、46億年前。博士は、このことから地球内核にあるウランの燃焼は末期状態であり、あと100年で燃え尽きてもおかしくないと結論付けるのだ。では、もし磁場が失われていった場合 一体、どのようなことが起こるのか?

地球磁場消失シミュレーション@「磁場に敏感な動物の異常行動」
一部の動物は、生体マグネタイトと呼ばれる体内の磁気センサーで、地球の磁場をとらえ方角を判断しているといわれる。そのため、磁場が失われると、鳥類などがパニック状態に陥り、建物などに激突するといった怪現象が発生。クジラやイルカの集団座礁なども起こると考えられる。

地球磁場消失シミュレーションA「精密機器の誤作動や破壊」
宇宙には「宇宙線」と呼ばれる星の爆発によって発生したアルファー線やガンマー線などの人体に有害な放射線が存在する。実は、この宇宙線が地球に侵入するのを防いでいるバリアが、磁場なのである。もし磁場が失われれば、宇宙線が、地球に降り注ぎ、地球上の物質を貫通してしまう可能性があるのだ。すると、精密機器やコンピュータに内蔵される半導体が異常をきたし、誤作動や、破壊を引き起こす。その結果、我々の文明生活に深刻なダメージを与えると思われる。

地球磁場消失シミュレーションB「人体への被害」
宇宙線が地上に降り注ぐようになると、人間を始めとする多くの哺乳類は被ばく状態となり細胞内の染色体が破壊される。その結果、極めて短期間でガンや白血病を発症し、死に至る可能性がある。植物や昆虫などは、絶滅するものや、遺伝子が変化するものが出てくると思われる。

地球磁場消失シミュレーションC「高エネルギー落雷」
宇宙からの強烈な放射線が大気に突入すると、電気的に中性だった大気が電化を帯び、高エネルギーの落雷が大量に発生すると考えられる。その、未曾有の異常気象によって都市はことごとく壊滅。想像を絶する被害が出ることが予想されるというのだ。


しかし、本当にそんな事が起こりうるのだろうか?実は、他の地球物理学者からは、 この仮説は、まだ研究が足らず信憑性は低いといわれている。では、磁場が全くなくなる事はないのであろうか?そこで、調査を進めた我々は驚くべき情報を入手した。なんと、ここ最近の150年間で地球の磁場は、観測史上かつてない速度で減少しているというのだ。この現象が意味するものとは何か?


実は、地球では太古の昔からN極とS極が逆転するという現象が何度か起こっていることがわかっている。そして、磁場逆転が起きる瞬間には磁場の力は、極めてゼロに近い状態になるという。つまりその際には映画のようなことが起こりうる可能性があるというのだ。果たして、磁場の減少は、磁場逆転の前兆なのか?それとも、博士の言うようにコアの停止を意味するものなのか?その答えは科学者たちの探求によって近い将来、明らかになるだろう。


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