入ってすぐ受付で記帳を済ましているところにさっきの山本さんと男の人がやってきて「俺いくつに見える?」みたいな質問をしてきた。(教訓:展示会で変にスキンシップを取るのは危ない)
とりあえず絵を見ているとその男の人が横に来て絵の説明をしだした。
店内の様子は、壁の所々に大きなコルクボードがあり、ポラロイド写真に店員と買った人と買った絵が写っていて、女子高生のような書きこみで「買ってよかった!」「生涯で一番の衝動買いです!」「一生大事にします」などなどがカラーペンで書かれていたり、キャラクターシールがはってあったり。
所々の壁際にテーブルと椅子が置いてあって、そのうちの1つのテーブルに男のお客さんと女性店員が座っていた。異様だったのはなんとバリケードのようにイーゼルに立てられた絵がテーブルを囲んでいたのだ。店内はBGMがうるさく何を話しているのかは聞こえなかった。
危なそうだな―と思って一通り目を通し帰ろうとしたら
「あっ最後にアンケートお願いします」と言われて椅子に座らされた。
最初は椅子が3つあって手前に座ると店員さんは奥の椅子に座ったので真ン中に椅子が空いた。
「あっこっちに座ってください。」と言われたので真ン中の椅子に座りなおした。
「好きな絵はどれですか?」ときかれて、その店員はなんとその絵をイーゼルに掛けてテーブルに持ってきた。
「他にはどの絵が好きですか?」(なんだか変だ。これでは向こうにいる男性客
と同じではないか・・・。)
もう1つ絵を選ぶとそれを持ってきた。完全に絵に囲まれた。
絵がどうやって出来るか(ラッセン系の絵だけの展示だった)みたいな話を延々聞かされた。
アンケート用紙の裏に絵を書いて説明しだした。
店員さんも自分で絵を買ったときのつらい話をした。
「毎日あまった小銭をためてかった。絵のおかげで節約を学んだ。無駄な買い物もしなくなった。当時高校生でローンを組んで買ったんだけど保証人がいるので父を説得して買った。自分は母が小学校1年生のときに車の事故で死んでしまった。母親と言うものを知らないけど絵を見ていると安らぎを感じる。・・・こんな話が出来るのも絵があるから心が自然と開けて話せるんだ。」
すると私が選んだ画家のプロフィールを持ってきてあげると言われたので「あっでもこれから郵便局に行くので・・・」といったが「すぐ済むから!」といってコピーをとりにいった。
コピーをとって戻ってきて画家の話しをしだした。
「買うとしたらいくらで買う?」みたいな話になって
「見るほうが好きなんで買うつもりないです。置き場所ないですし・・・」って言った。
でも「買うとしたら1ヶ月にどれだけ出せる?」みたいな話になって、いやだなーって思って考える振り(と言うか悩んでた)をした。
延々と同じ話しがつづいて
「6000円ぐらいですかねー」とか言ったら、
距離を置いて見ていた山本さんが「6,7,8000円ぐらいなら買えるんだー」(オイオイつりあげるなよ―)
「ハァ・・・」と返事をしてしまいました。
すると山本さんは「交渉してみるよー」と言い出しました。
もう何時間ここにいるんだろうと思って「郵便局に行きたいんですけど何時ですか?」と聞いた。
「うん?4時〜〜〜」この辺はBGMがうるさくて聞き取れなかった。
隣についていた係員もあとを追うように消えていた。
私は時間が心配になりかばんの中からPHSを取り出し時間をみた5時前だ・・・しかも圏外・・・
その二つの要素がますます不安になった。
すると店員さんがコーヒー持ってあらわれて
「これは山本さんが言っちゃだめって言われてるんだけど主任(山本さん)、電話で交渉してるんですけどホントは勝手に値段とか変えちゃいけないのに無理して交渉して怒られてるんですよー」
とかタバコ臭い匂いのする口で言い出したの。(さっきまで吸ってたな・・・・)
山本さんが帰ってきて「7800円ならいけるよ」って言い出して空いていた椅子に座った。
(真ン中の椅子に座らされた意味がわかった。完全に挟まれてしまったのだ)
「じゃあ買わないです」って言ったら、
「なんで?欲しいものってサ、苦労して手に入れないとサー」みたいな話になって「君の目を見ていると僕の姉を思い出すよー僕は施設で育ってね」みたいな話もでた。
おもむろに「思いで・・・山本一郎」と書かれたアルバム数冊を取り出すと、そこにはコルクボートにはってあったのと同じポラロイド写真が貼ってあった。
山本さん「僕のお客さん400人ぐらいいるんですけどね」といっていかに買った人が苦労しながら節約を学び絵を買ったか話し始めた。
山本さん、係員:「1日に出る小銭をためれば絶対買える」みたいな話を何度もしてきて「私はお給料から差し引いた金額で考えるので1日に出たお金をためる事はしていません」と答えた。
このやり取りは何度も続いた。
山本さんが係員に「席はずしてくれる?」っていって2人きりになった。
「最初6000円だったら買うって言ったよね?」ちょっと口調がキツイ。
「でも6000円じゃないじゃないですか」と言ったら、
「6,7,8000円ぐらいなら買える」っていたら「はい」っていっただろう?」と言われた。
やられた!と思いました。
「私はあんたに節約する事を教えてるンやで?1日に絶対小銭は出るやろ?それをためていくんや」
といってポケットから小銭を出した。
「ここに860円あるやろ?ここから200円とって660円で1日生活するんや、簡単な事やろ?」
クーリングオフも出来るとか、うちは足かせになるような事は無理にすすめてはいない、支払いは2ヶ月後の9月の28日からとかいろいろ言ってきた。
そのうち口論になって
「お前の為にここまでしたんだ。それなりの対応があるだろう」
とか言って、ポケットからガムを取り出してクチャクチャかみだした。
「なぁどうなん?」とかいって私の座ってるパイプイスをコンコンけってきたり・・・。
いろいろ態度が豹変してきた。
「そんな態度の人に私がどうしたらいいんですか?」って聞いたら
「ハァ?自分の事もわからんの?俺しらんわ、自分で考えろよ」
と言いながら背広の両ポケットに手を突っ込みパタパタと振って答えた。
あまりの事にびっくりした。なんでこんな目にあっているんだろう私・・・。
重い沈黙が流れた・・・。
「黙ってないで何とか言えよ。会社に損害与えておいて誠意もないのか?」
「誠意ってローンを組めって事ですか?私はローンを組みたくありません」
「やる前からなんでそんな事が言える?今紙に書いても支払いは9月の28日からやっていってるだろう?」
「その日にたまらなかったらどうするんですか?私は絵も欲しくないしローンも組みたくありません」と言った。
「やるまえからなんでそんな事が言える?ねぇアンタローン組んだ事ある?」
「ありません」
「ローンのメリット知ってる?」
「知りません・・・」
「ローンしらん人間がどうしてローンのメリットもわからんのにそんな事言えるン?アンタなにをビビってるの?そんなんでローン嫌ですっていって家買うときどうするの?」
「私今日は絵を買いに来たんじゃありません!郵便局に行くっていったじゃないですか!」
「それは知ってるよ!でもあんた何時までに行くとか言わんかったやんか、自分だけ被害者みたいなこと言うなよ」
そんなこんなで6時間ぐらい軟禁状態で電話も電波が届かないし。
このままじゃ無理やり契約させられると思って「もう帰ります」て言ったら、
「それが社会人の態度?俺やったらそんな失礼な事はしない」
みたいなこと言ってきて、このままじゃどうにもならいとおもって出口に行ったら後ろから追っかけてきて、
「ちゃんとした社会人なら謝るぞ、俺やったら謝る」みたいな話をしてて、もうすぐそこが(地下のギャラリー)外に通じてる階段で、空が見えた。
その時はすぐに外に出たかったから悔しかったけど謝った・・・。
帰りながら涙がでてきて、嘔吐感もあった。
あの系統の絵を見るたびに思い出すんだような・・・。
さて、これを読んだ後は、ぜひ、こちらの「悪徳(?)絵画展示会場の実態!」をご覧ください。
同じ・・・、とは言いませんが・・・・・・・。