【発明の名称】 |
メッシュチェック方法 |
【発明者】 |
【氏名】倉本 成史
【氏名】鳥淵 浩伸
【氏名】若槻 伸治
【氏名】佐々木 令晋
【氏名】大田 良絵
【氏名】山路 正和
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【要約】 |
【課題】簡便かつ正確に、しかもチェック操作によって損傷したりすることなく、メッキむらや損傷等により生じるふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認することができる、メッシュチェック方法を提供する。
【解決手段】ふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認する方法であって、前記メッシュ面に光を照射し、該メッシュ面と光線とのなす角度を変化させながら、前記ふるいをメッシュ面上で回転させて、個々の孔を通過する光量の相対変化を観測することにより、孔径差を検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認する方法であって、前記メッシュ面に光を照射し、該メッシュ面と光線とのなす角度を変化させながら、前記ふるいをメッシュ面上で回転させて、個々の孔を通過する光量の相対変化を観測することにより、孔径差を検出することを特徴とするメッシュチェック方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電成ふるいのメッキむらや損傷の有無を確認するのに有用なメッシュチェック方法に関する。 【0002】 【従来の技術】各種ふるいの中でも、例えば、電成ふるいは、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものであり、開孔径、単位あたりの開孔数の調整が容易であるばかりでなく、開孔径分布が非常に良好であるため、非常に精度の高い分級を可能にするものである。電成ふるいの製造方法としては、高精度にクロスライン状に腐食させたガラス原板上に、真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成した後、腐食部分の溝以外のメッキ層を除去し、これに電解メッキ等の方法でメッシュを形成し、ガラス原板から剥離し、必要に応じてさらに電解メッキを施す方法が一般的である。また、他の製造方法として、ガラス平板上に真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成し、その被膜上にレジストを塗布した後、所定の形状のパターンを形成し、その後エッチングによりパターン以外の部分を除去し、ガラス原板から剥離後、電解メッキを施す方法も知られている。 【0003】このように、電成ふるいは、メッキにより孔径をコントロールして製造されるのであるが、メッキを施す際、異物の混入や気泡の付着等が原因でメッキむらが生じることがあり、この場合、電成ふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の中で他よりも孔径の大きい孔が存在して、孔径差が生じることになる。また、電成ふるいは、極めて薄く、孔と孔との間の金属部分が非常に細いため、破れたり、微細な傷が生じたりしやすい。そして、メッキむらや損傷のある電成ふるいを用いて分級を行った場合、分級の精度が低下したり(上分級の場合)、分級の収率が低下したり(下分級の場合)する傾向がある。 【0004】従来、例えば、電成ふるいのメッキむらや損傷等により生じるふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無をチェックする方法としては、目視で観察して孔径の差や傷の有無を確認する方法、実際に分級操作を行ってみて確認する方法、あるいは顕微鏡で観察して孔径の差や傷の有無を確認する方法等が採用されてきた。しかし、目視による観察では、微細な傷は見落としやすく、しかも、孔径は正常であっても反射率が異なることによって不良と判定してしまうことがあった。また、実際に分級操作を行って確認する方法では、操作に手間がかかり、しかも操作中に損傷させる恐れもあった。また、顕微鏡による観察は、チェックに多大な時間がかかるため、実用的ではなかった。さらに、ふるいを補強するためのサポートが設けられている場合、サポート部が見えにくいため、孔径差や損傷の発見が困難であることもあった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、簡便かつ正確に、しかもチェック操作によって損傷したりすることなく、メッキむらや損傷等により生じるふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認することができる、メッシュチェック方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、前記メッシュ面に光を照射して、個々の孔を通過する光量を相対的に比較することによって、孔径の微細な違いを発見することができることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明のメッシュチェック方法は、ふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認する方法であって、前記メッシュ面に光を照射し、該メッシュ面と光線とのなす角度を変化させながら、前記ふるいをメッシュ面上で回転させて、個々の孔を通過する光量の相対変化を観測することにより、孔径差を検出することを特徴とする。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明のメッシュチェック方法は、ふるいのメッシュ面に光を照射し、個々の孔を通過する光量の相対変化を観測することにより、孔径差を検出するものである。ふるいのメッシュ面に光を照射するための光源としては、特に制限はないが、光の照射面積ができるだけ広いもの、具体的には、ふるいのメッシュ面全体を一度に照射できるような広い照射面積を有するものを用いると、検査時間の短縮を図ることができるので好ましい。光源は、光量の観測手段に応じて適宜選択すればよいのであるが、例えば、白熱灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、発光ダイオード等を用いることができる。 【0008】本発明において、メッシュ面の個々の孔を通過する光量の相対変化を観測するとは、メッシュ面のある1個の孔を通過した光量とその周辺の孔を通過した光量とを観測して比較することであり、これによって、ある1個の孔の孔径とその周辺の孔の孔径との孔径差を検出することができる。実際には、検査に要する時間を考慮すると、1個1個の孔を順次、その周辺の孔と比較していくのではなく、一定面積を有するスポット毎に、そのスポットにある孔を通過した光量にムラがないかを判定していくことが好ましい。本発明において、メッシュ面の個々の孔を通過する光量を観測する手段としては、例えば、目視による観測でもよいし、イメージセンサー(CCDカメラ)等を用いた観測でもよいし、あるいは、輝度計等を用いて光量を数値化して観測する方法を採用してもよい。具体的には、目視にて観測する場合には、孔を通過した光を観測板に照射させ、その明度が均一であるか否かを判定する(他よりも大きい孔があると部分的に明度が増大し、他よりも小さい孔があると部分的に明度が減少する)。イメージセンサー(CCDカメラ等)等にて観測する場合には、イメージセンサー等で観察される画像の明度が均一であるか否かを判定する。輝度計等を用いて光量を数値化して観測する場合には、光量が急激に変化するか否かで判定する。 【0009】本発明においては、メッシュ面の孔を通過する光量を観測する際に、メッシュ面と光線とのなす角度を変化させながら、前記ふるいをメッシュ面上で回転させて、行うことが重要である。このように、光の照射状態を順次変化させて、メッシュ面の孔に様々な角度で光を通過させることによって、ふるいに曲がりやそりがある場合や、孔が異方的に損傷している場合や、電成ふるいのようにサポートが設けられており損傷部が見えにくい場合であっても、従来検出されにくかった孔径差を的確に検出することができるのである。メッシュ面と光線とのなす角度を変化させながら、ふるいをメッシュ面上で回転させて光量を観測するとは、具体的には、まず、メッシュ面と光線とのなす角度がある角度になるようにふるいを保持させて、その状態でふるいをメッシュ面上で回転させながら光を照射する。ふるいを1回転させた後、メッシュ面と光線とのなす角度を変化させて、再びその状態で、ふるいをメッシュ面上で回転させながら光を照射する。このようにして、メッシュ面と光線とのなす角度を順次、一定角度づつ、例えば、3〜30°毎に変化させ、各角度に保持させた状態で、ふるいをメッシュ面上で回転させればよい。このとき、メッシュ面と光線とのなす角度は、より細かく変化させることが好ましく、連続的に変化させることが最も好ましい。 【0010】本発明のメッシュチェック方法に用いることのできる装置については、特に限定されるものではないが、その一例について図面を用いて説明する。図1において、光源Lは、レンズR1 を介して電成ふるいMのメッシュ面全体に光を照射できるようになっている。さらに、光線上には、電成ふるいMのメッシュ面を通過した光を絞ってイメージセンサーSに入射させるようにするレンズR2 が設置されており、このレンズR2 を介して電成ふるいMのメッシュ面通過光を観察するイメージセンサーSが配置されている。また、このイメージセンサーSには光量変化を検出するためのイメージプロセッサPが接続されている。試験体である電成ふるいMは、光源LとイメージセンサーSとの線(直線LS)上に配置され、電成ふるいMのメッシュ面と直線LSとのなす角度が変動自在であり、かつメッシュ面上で電成ふるいMが回転可能となるように、保持されている。なお、図1においては、光線を模式的に破線で示している。 【0011】本発明のメッシュチェック方法は、各種ふるいのメッシュ面に適用することができるが、特に、メッキむらが生じやすいうえ、極めて薄く損傷しやすい電成ふるいのメッシュ面に有用な方法である。また、本発明によりチェックしうるメッシュ面は、その材質や、孔径、単位長さ当たりの線数等について制限されるものではなく、例えば、孔径が大きく、単位長さ当たりの線数が多い場合など、破れたり、損傷しやすい場合であってもよい。 【0012】 【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨の範囲で設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。 (実施例1)光源Lとしてハロゲンランプを用い、レンズR1 を介して照射面積径100mmの光を照射するようにし、この光源Lからの光を観察できるように配置されたイメージセンサーS((株)キーエンス製CCDカメラ「CV−030」)と、該イメージセンサーSに入射する光を絞るために設けられたレンズR2 と、イメージセンサーSに接続され光量変化を検出するイメージプロセッサP((株)キーエンス製カラー画像センサー「CV−300」)とを備えた図1に示す装置を用い、図1に示すように、光源LとイメージセンサーSとの線(直線LS)上に、試験体として電成ふるいM(直径90mm、平均孔径3.0μm)を配置した。このとき、電成ふるいMは、電成ふるいMのメッシュ面と直線LSとのなす角度が変動自在であり、かつメッシュ面上で電成ふるいMが回転可能となるように、ゴニオメーターを用いて保持させた。 【0013】まず、電成ふるいMが直線LSに対して垂直になるように設定して、メッシュ面上で電成ふるいMを0.5rpmで回転させながら光源Lより光を照射し、電成ふるいMを通過する光量をイメージセンサーSで測定し、光量が特異的に増減する箇所の有無をイメージプロセッサPにて検出した。電成ふるいMをメッシュ面上で1回転させた後、順次、メッシュ面と直線LSとのなす角度を10°毎に変化させ、メッシュ面が180°回転するまで、先程と同様にメッシュ面上で電成ふるいMを回転させながら光を照射して、光量が特異的に増減する箇所の有無を調べた。 【0014】 【発明の効果】本発明のメッシュチェック方法によれば、簡便かつ正確に、しかもチェック操作によって損傷したりすることなく、メッキむらや損傷等により生じるふるいのメッシュ面を構成する多数の孔の孔径差の有無を確認することができる。
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【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒
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【出願日】 |
平成12年6月16日(2000.6.16) |
【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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【公開番号】 |
特開2002−5847(P2002−5847A) |
【公開日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
【出願番号】 |
特願2000−182141(P2000−182141) |
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