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【発明の名称】 液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】佐々木 令晋

【氏名】若槻 伸治

【氏名】山下 毅

【氏名】森川 真美子

【氏名】横尾 純子

【氏名】倉本 成史

【要約】 【課題】熱可塑性樹脂からなる接着層の厚みが大きく、しかも熱可塑性樹脂単独の凝集物が低減され、また、良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法を提供することにある。

【解決手段】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーは、原料粒子の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用接着性スペーサーにおいて、前記熱可塑性樹脂中のイオン分が0.00005〜5wt%であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】原料粒子の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用接着性スペーサーにおいて、前記熱可塑性樹脂中のイオン分が0.00005〜5wt%であることを特徴とする、液晶表示板用接着性スペーサー。
【請求項2】原料粒子と熱可塑性樹脂の粉末を含む混合物に衝撃力を与えて、前記原料粒子の表面の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用接着性スペーサーを製造する方法において、前記熱可塑性樹脂中のイオン分を0.00005〜5wt%の範囲にすることを特徴とする液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着層の被覆効率が高く、熱可塑性樹脂単独の凝集物による液晶表示板の画質低下を低減し、良好な分散性が得られる、液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、テレビ、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、PHS(携帯情報端末)、カーナビゲーションシステム等の画像表示素子として、液晶表示板(LCD)が広く用いられている。なかでもTFT−LCDと呼ばれる液晶表示板は、高速応答や視野角拡大への対応が可能なため、ブラウン管(CRT)からの置き換えを目的に、13インチ以上の大画面TFT−LCDとする開発が検討されてきた。しかし、特に大画面TFT−LCDを製造する際には、液晶表示板の製造工程時、すなわち、基板搬送時、基板切断時、および液晶表示板の輸送時等に、振動や衝撃が加わって液晶表示板内部のスペーサーが動き、1)液晶配向の乱れや配向膜の損傷による、光抜けの増加およびコントラストの低下、2)ギャップムラおよび色ムラの発生等の、液晶表示板の品質低下を生じさせる問題があったため、スペーサーの移動・脱落の防止を目的として、スペーサー粒子表面を熱可塑性樹脂による接着層でコートした接着性スペーサーの開発や検討がなされてきた。
【0003】なかでも、接着性スペーサーにおける接着層の被覆工程では、簡便に実施できるという観点から、衝撃力(衝撃(摩擦)エネルギー)によって原料粒子表面に熱可塑性樹脂を被覆するという方法(特開昭63−94224号公報、特開平1−154028号公報、特開平8−328022号公報、および、特開平9−235527号公報)が広く採用されている。しかしながら、原料粒子と熱可塑性樹脂粉末に衝撃力を与えて熱可塑性樹脂を溶融しつつ原料粒子に付着させる方法においては、熱可塑性樹脂の被覆効率が悪く、全く被覆されていない粒子も多数存在するため接着層の厚みが小さく振動や衝撃に対するスペーサーの移動を抑制するには不充分であった。また、接着層の厚みを増すために熱可塑性樹脂の使用量を増やすと、熱可塑性樹脂粉末どうしの凝集によって被覆工程後、樹脂単独のものが異物として多く存在し、液晶表示板の画質を低下させるという問題などがあった。さらに、接着層を厚くすると粒子どおしの凝集が起こりやすくなり、電極基板上への散布性が悪くなるという問題があり、上記3つの問題を同時に解消できる接着性スペーサーは従来存在しなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の解決しようとする課題は、熱可塑性樹脂からなる接着層の厚みが大きく、しかも熱可塑性樹脂単独の凝集物が低減され、また、良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のような熱可塑性樹脂からなる接着層の厚みを大きくすること、熱可塑性樹脂単独の凝集物を低減することおよび良好な分散性が得られるということという、同時に解消することの困難な3つの課題を一挙に解決するべく鋭意検討を行った。その結果、接着層となる熱可塑性樹脂中に含まれるイオン分の濃度に着目し、その範囲を特定した、新規な液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法が上記課題を一挙に解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーは、原料粒子の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用接着性スペーサーにおいて、前記熱可塑性樹脂中のイオン分が0.00005〜5wt%であることを特徴とする。また、本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法は、原料粒子と熱可塑性樹脂の粉末を含む混合物に衝撃力を与えて、前記原料粒子の表面の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用接着性スペーサーを製造する方法において、前記熱可塑性樹脂中のイオン分を0.00005〜5wt%の範囲にすることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法を具体的に説明する。
〔液晶表示板用接着性スペーサー〕本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーについては、その粒子構造は、スペーサー粒子本体となる原料粒子と熱可塑性樹脂とを含み、原料粒子の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆されていることが好ましい。
【0008】以下、前記原料粒子と熱可塑性樹脂に分けて詳しく説明する。
(原料粒子)本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーに用いられる原料粒子は、液晶表示板の隙間距離を決める主なものであって、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持する。前記原料粒子の平均粒子径は、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μmである。前記平均粒子径が上記範囲を外れると、接着性スペーサーとして用いられないおそれがあるので好ましくない。
【0009】前記原料粒子の粒子径の変動係数(CV)は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。前記粒子径の変動係数が10%を超えると、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持することが困難となり、画像ムラを起こしやすくなるおそれがあるので好ましくない。なお、前記平均粒子径および前記粒子径の変動係数の定義や測定方法は、後述の実施例に記載のものを採用することが好ましい。前記原料粒子の形状は、特に限定されるものではなく、具体的には、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子形状を好ましく挙げることができるが、なかでも液晶表示板の隙間距離を均一に一定とする上では球状が好ましい。すなわち、粒子が球状である場合、すべてまたはほぼすべての方向について一定またはほぼ一定の粒径を有することができるからである。
【0010】前記原料粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機質無機質複合体粒子等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、有機架橋重合体粒子および/または有機質無機質複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラーフィルターの損傷防止や両電極基板間の隙間距離の均一性を得やすいという点で好ましく、有機質無機質複合体粒子が最も好ましい。前記有機架橋重合体粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ベンゾグアナミン、メラミンおよび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のアミノ化合物とホルムアルデヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂の硬化粒子(特開昭62−068811号公報参照);ジビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル単量体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒子(特開平1−144429号公報参照)等を好ましく挙げることができる。
【0011】前記無機系粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ等の球状微粒子等を好ましく挙げることができる。前記有機質無機質複合体粒子は、好ましくは、有機質部分と無機質部分とを含む複合粒子である。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定されるわけではないが、例えば、前記有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜85wt%、さらに好ましくは30〜80wt%である。前記無機酸化物換算とは、好ましくは、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率で示される。前記有機質無機質複合体粒子の前記無機質部分の割合が、無機酸化物換算で10wt%を下回ると、前記有機質無機質複合体粒子は軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えることになるので好ましくなく、また、90wt%を上回ると、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が生じやすくなるおそれがあるので好ましくない。
【0012】前記有機質無機質複合体粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量が25wt%以上である、有機質無機質複合体粒子A等を好ましく挙げることができる。ここで、前記有機質無機質複合体粒子Aが、G≧14・Y1.75(ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔mm〕を示す)を満足する破壊強度であると好ましく、10%圧縮弾性率が300〜2000kg/mm2、10%変形後の残留変位が0〜5%であるとさらに好ましい。前記有機質無機質複合体粒子Aは、染料および/または顔料を含むことで好ましく着色されていてもよい。
【0013】前記有機質無機質複合体粒子Aの製造方法については、特に限定されるわけではないが、例えば、下記に示す縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含む製造方法を好ましく挙げることができる。前記縮合工程とは、好ましくは、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水分解・縮合する工程である。前記第1シリコン化合物は、次の一般式(1)、(2):【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】(ここで、Raは水素原子またはメチル基を示し;Rbは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rcは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示し、Rdは、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を示す)と、次の一般式(3)、(4):【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】(ここで、Reは水素原子またはメチル基を示し;Rfは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示し、Rgは、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を示す)と、次の一般式(5)、(6):【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】(ここで、Rhは水素原子またはメチル基を示し;Riは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rjは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示し、Rkは、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を示す)とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表される化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである。前記重合工程は、前記縮合工程中および/または前記縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させる工程である。
【0023】前記熱処理工程は、前記重合工程で生成した重合体粒子を800℃以下の温度で乾燥および焼成する工程であり、たとえば、10容量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中で行われることが好ましい。前記縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/または後に、生成した粒子を着色する着色工程をさらに含んでいてもよい。前記原料粒子は、染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つ等を含むことで着色されていてもよい。その色は、光が透過しにくいか、または、透過しない色が、接着性スペーサー自身の光抜けを防止でき画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過しにくいか、または、透過しない色としては、たとえば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色を好ましく挙げることができるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。
【0024】なお、染料および/または顔料は、単に原料粒子に含まれるものでもよく、あるいは、染料および/または顔料と原料粒子を構成するマトリックスとが化学結合によって結び付けられた構造を有するものでもよいが、特にこれらに限定されない。
(熱可塑性樹脂)本発明の液晶表示板用接着性スペーサーに用いられる熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)は、衝撃力を受けて前記原料粒子に衝突し、その少なくとも一部が衝突時に融解することにより、前記原料粒子の表面に付着し、前記原料粒子の少なくとも一部を被覆する接着層となることが好ましい。この接着層は電極基板等に対する接着剤として好ましく作用する。
【0025】前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、例えば、エチレン性不飽和単量体の単独重合体または共重合体を含む樹脂等を好ましく挙げることができる。前記エチレン性不飽和単量体としては、特に限定はされないが、たとえば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができる。
【0026】これらの中でも、エチレン性不飽和単量体が、芳香族残基(たとえば、フェニル基等)、水素結合可能な残基(エステル基等)を含有していると、配向膜との分子間力が大きくなって、前記電極基盤基板等への接着力が大きくなるため好ましく、(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはスチレンを含んでいることがさらに好ましい。すなわち、前記熱可塑性樹脂が、単量体単位として(メタ)アクリレートを必須成分とする(メタ)アクリル系重合体を含む樹脂((メタ)アクリル系樹脂)、単量体単位としてスチレン化合物を必須成分とするスチレン系重合体を含む樹脂(スチレン系樹脂)、および、単量体単位としてスチレン化合物および(メタ)アクリレートを必須成分とする(メタ)アクリル−スチレン系重合体を含む樹脂((メタ)アクリル−スチレン系樹脂)からなる群の中の少なくとも1種を含んでいることが特に好ましい。
【0027】上記熱可塑性樹脂は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよく、また、上記熱可塑性樹脂を含む前記接着層は1層であっても2層以上であってもよい。前記熱可塑性樹脂は、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が、30〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜80℃である。前記熱可塑性樹脂の単独重合体でのガラス転移温度(Tg)が、上記範囲である場合、短時間の加熱・加圧で基盤に強固に接着することができるので好ましいが、100℃を超える場合は、加熱しても接着しないおそれがあるので好ましくなく、また、30℃未満の場合は、スペーサーどうしが融着しやすくなるおそれがあるので好ましくない。
【0028】前記エチレン性不飽和単量体のなかでも、特に、(メタ)アクリル酸エステルやスチレンを重合して前記熱可塑性樹脂を製造する場合、ソープフリー重合(ソープフリー乳化重合)によって得られるものが好ましく、理由としては、前記ソープフリー重合(ソープフリー乳化重合)では界面活性剤等のイオン性物質を使用せず、熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度を本発明の特定の範囲にすることが容易にできるからである。前記熱可塑性樹脂は、上記のものに限定されるわけではなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;各種ポリアミド;各種ポリカーボネート;各種エポキシ樹脂等も熱可塑性樹脂として好ましく使用できる。前記熱可塑性樹脂には、上記のものを1種のみ使用しても、2種以上併用してもよい。
【0029】前記熱可塑性樹脂は、染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことで好ましく着色されていてもよい。前記熱可塑性樹脂の着色に使用できる染料および顔料としては、特に限定されるわけではなく、例えば、スペーサーの原料粒子の着色に使用できる染料および顔料として前述したもの等を好ましく挙げることができる。前記熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)の平均粒子径については、特に限定されるわけではないが、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以下、最も好ましくは0.6μm以下である。前記熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径が2μmを超えると、前記スペーサーの原料粒子を被覆するのが困難になるおそれがあるので好ましくない。なお、この熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)の平均粒子径も、前記原料粒子の平均粒子径の測定方法と同様に、実施例中に記載のものを好ましく採用する。
【0030】前記熱可塑性樹脂中のイオン分としては、特に限定されるわけではないが、一般に熱可塑性樹脂の合成時に用いられるモノマー、乳化剤およびラジカル重合開始剤等に含まれる硫化物イオン、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、リン酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン等のイオン分を好ましく挙げることができ、これらは単独で使用されても、2種以上を併用されてもよい。前記熱可塑性樹脂中のイオン分の合計濃度は、熱可塑性樹脂に対して0.00005〜5wt%であることが好ましく、より好ましくは0.00006〜1wt%、さらに好ましくは0.00008〜0.5wt%、最も好ましくは0.0001〜0.05wt%であり、その測定方法については下記実施例に記載の方法(熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法)を採用することが好ましい。前記含有イオン分の合計濃度が上記範囲内である場合は、前記原料粒子への前記熱可塑性樹脂の被覆効率が高くなるため、接着層の厚みを増加させることと未被覆の熱可塑性樹脂単独の凝集物を低減することができ、また、液晶表示板用スペーサーとして用いた場合に良好な分散性を得ることができるので好ましい。前記含有イオン分の合計濃度が5wt%を超える場合は、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)単独の凝集物が多く、原料粒子への熱可塑性樹脂の被覆が不十分となり、0.00005wt%未満の場合は、液晶表示板の製造工程において、スペーサーの分散性が低下するため、前記スペーサーの凝集物が液晶表示板中に存在し、液晶表示板の品質を低下させる恐れがあるので好ましくない。
【0031】また、前記熱可塑性樹脂に含有されるイオン分の濃度を低減する方法としては、特に限定されるわけではないが、含有イオン分濃度の少ないモノマー(単量体)を用いて前記熱可塑性樹脂を合成する、前記熱可塑性樹脂を合成する際に用いるイオン性乳化剤およびイオン性ラジカル重合開始剤等の使用量を低減する、あるいは前記熱可塑性樹脂を限外濾過、抽出、透析およびイオン交換樹脂の利用等の方法により精製してイオン分を取り除く等の手段を好ましく採用することができる。従来、液晶表示板の信頼性の観点から考えた場合、上記イオン分は少なければ少ない程良く、0wt%が最も良いことは知られているが、液晶表示板用接着性スペーサーの分散性向上の点ではイオン分が少なすぎても達成できず特定範囲の含有イオンが必要であることがわかった。
【0032】〔液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法〕本発明の液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法において、混合物とは、スペーサー粒子本体となる原料粒子と熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)とを必須成分として好ましく含むものである。原料粒子と熱可塑性樹脂粉末の混合割合((熱可塑性樹脂粉末/原料粒子)×100)については、特に限定されるわけではないが、0.1〜45wt%であることが好ましく、より好ましくは1〜35wt%、最も好ましくは5〜30wt%である。上記熱可塑性樹脂粉末の割合が45wt%を超える場合は、得られる接着性スペーサーの接着層が厚くなりすぎて、溶融した際に電極基板や配向膜やカラーフィルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示板の画質低下を招く恐れがあるので好ましくなく、他方、熱可塑性樹脂粉末の割合が0.1wt%未満の場合は、接着性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0033】本発明の液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法に用いる熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂粉末)は、上記の「熱可塑性樹脂」であり、特定の濃度範囲すなわち0.00005〜5wt%のイオン分を含有するので、従来のように前記特定濃度範囲の上限を超えるイオン分を有する熱可塑性樹脂を用いて接着性スペーサーを製造する場合と比べると、同じ膜厚を得るための熱可塑性樹脂粉末の使用量を10〜40%低減でき、しかも熱可塑性樹脂粉末どおしの凝集を少なくすることもできるため好ましい。特に、後述する、衝撃力により接着性スペーサーを製造する場合には、上記効果は顕著である。
【0034】本発明の液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、原料粒子と熱可塑性樹脂粉末を含む前記混合物に衝撃力を与えて、原料粒子の表面の少なくとも一部を熱可塑性樹脂で被覆し、接着層を形成することが好ましいが、前記混合物に衝撃力を与える具体的な方法としては、特に限定されるわけではなく、例えば、高速気流中衝撃法などを好ましく挙げることができる。高速気流中衝撃法とは、例えば、前記混合物を気相中に分散させ、衝撃力を主体とする機械的熱的エネルギーを混合物に与える方法であり、原料粒子表面の被覆を簡便かつ効率よく行うことができる。
【0035】高速気流中衝撃法を実施する装置としては、特に限定されるわけではないが、例えば、奈良機械製作所(株)製ハイブリダイゼーションシステムや、ホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンシステム、川崎重工業(株)製クリプトロンシステム等を好ましく挙げることができる。このようにして得られた接着性スペーサーの接着層の厚みについては、特に限定はないが、0.02〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。接着層の厚みが0.02μm未満の場合、接着性が低下するおそれがあるので好ましくなく、他方、0.4μmを超える場合、接着層の溶融時に、この接着層が電極基板、配向膜およびカラーフィルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示板の画質低下を招く可能性があるので好ましくない。
【0036】〔液晶表示板の製造〕次に、本発明の製造方法で得られる接着性スペーサーを用いた液晶表示板について説明する。液晶表示板は、従来の液晶表示板において、従来のスペーサーの代わりに、上述したような接着性スペーサーを電極基板間に介在させて電極基板の間隔を保持させたものであり、同スペーサーの粒子径と同じかまたはほぼ同じ隙間距離を有する。液晶表示板は、たとえば、第1電極基板と、第2電極基板と、スペーサーと、シール材と、液晶とを備えている。第1電極基板は、第1基板と、第1基板の表面に形成された第1電極とを有する。第2電極基板は、第2基板と、第2基板の表面に形成された第2電極とを有し、第1電極基板と対向している。スペーサーは、液晶表示板用接着性スペーサーであり、第1電極基板と第2電極基板との間に介在してこれら両電極基板間の間隔を保持する役目をする。シール材は、第1電極基板と第2電極基板とを周辺部で接着する。液晶は、第1電極基板と第2電極基板との間に封入されており、第1電極基板と第2電極基板とシール材とで囲まれた空間に充填されている。
【0037】液晶表示板には、電極基板、シール材、液晶など、スペーサー以外のものは従来と同様のものが同様のやり方で使用することができる。電極基板は、ガラス基板、フィルム基板などの基板と、基板の表面に形成された電極とを有しており、必要に応じて、電極基板の表面に電極を覆うように形成された配向膜をさらに有する。シール材としては、エポキシ樹脂接着シール材などが使用される。液晶としては、従来より用いられているものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキセン系、フッ素系などの液晶が使用できる。特に、TFT−LCDの場合、液晶としてはフッ素系のものが好ましい。
【0038】本発明による接着性スペーサーは膜厚が大きいにもかかわらず分散性に優れているため、電極基板上への散布の場合は、乾式および湿式のいずれの方式においても均一に散布しやすく、液晶表示板を作製する方法としては、たとえば、接着性スペーサーを面内スペーサーとして2枚の電極基板のうちの一方の電極基板に均一に散布したものに、シリカスペーサーをシール部スペーサーとしてエポキシ樹脂等の接着シール材に分散させた後、もう一方の電極基板の接着シール部分にスクリーン印刷などの手段により塗布したものを載せ、適度の圧力を加え、140〜160℃の温度で1〜60分間の加熱により、接着シール材を加熱硬化させた後、液晶を注入し、注入部を封止して、液晶表示板を得る方法を挙げることができるが、液晶表示板の作製方法によって限定されるものではない。面内スペーサーとしては、接着性スペーサーの中でも、前述のように着色されたものがスペーサー自身の光抜けを生じにくいので好ましい。
【0039】なお、前記液晶表示板において、本発明の製造方法で得られる接着性スペーサーを用いた場合は、1)液晶表示板の製造工程におけるスペーサーの分散時にスペーサーの凝集が生じにくく、液晶層の厚みの均一化と色むらの発生防止が達成できる、2)熱可塑性樹脂単独の凝集物の発生が低減し、画質が向上する、3)スペーサーの両電極基盤への接着力が大きく、振動や衝撃に対するスペーサーの移動を抑制することができる。したがって、振動や衝撃のかかり易い用途、たとえばカーナビゲーション等の車載用にこのましく使用されるが、従来の液晶表示板と同じ用途、たとえば、テレビ、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、PHS(携帯情報端末)などの画像表示素子として好ましく使用してもよい。特に、振動や衝撃を加えてもスペーサー周囲の光抜けの増化が著しく小さいため、11インチ以上の大型液晶表示板や、自動車積載用の液晶表示板として用いられた場合はさらにより好ましい。
【0040】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。まず、以下の合成例1〜9により、実施例および比較例に用いる各種成分を合成する。また、これら合成例1〜9の記載中に示す、スペーサーの原料粒子の平均粒子径(および粒子径の標準偏差、粒子径の変動係数)や熱可塑性樹脂の含有イオン分の濃度は、下記の方法により測定した。
〔平均粒子径と粒子径の変動係数〕試料を電子顕微鏡により観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子径を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏差および粒子径の変動係数を求めた。
【0041】
【数1】

【0042】
【数2】

【0043】
【数3】

【0044】〔熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法〕所定量の熱可塑性樹脂(通常は2g)に蒸留水50gを加えて100℃で5時間加熱抽出を行った後、この熱可塑性樹脂を濾過により取り除いて得られた水溶液のイオン分の濃度を、イオンクロマトグラフィーにより測定し、硫化物イオン、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、リン酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオンおよび酢酸イオンの各濃度(wt%)の合計値を求め、熱可塑性樹脂単位重量当たりの含有イオン分濃度(wt%)に換算して熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度とした。
【0045】−合成例1−γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシラン(45/55重量比)を使用して、アルコキシシリル基の共加水分解・重縮合と、二重結合のラジカル重合を行うことにより、白色の有機質無機質複合体粒子(1)を得た。この複合体粒子(1)は、平均粒子径5.0μm、粒子径の変動係数3.2%、ポリシロキサン骨格の割合が、複合体粒子(1)の重量に対して、SiO2換算量で55wt%(空気中1000℃で焼成した場合)であった。
【0046】−合成例2−ヒドロキシプロピルセルロースをメタノールに溶解させたメタノール溶液に、スチレン、ジビニルベンゼン(60/40重量比)と、ラジカル重合開始剤としての2,2´−アゾビスイソブチロニトリルとを混合した。この混合物を、窒素雰囲気下、8時間還流させ、析出重合を行い、ビニル系架橋重合体粒子(2)を得た。ビニル系架橋重合体粒子(2)は、平均粒子径5.5μm、粒子径の変動係数3.6%であった。
−合成例3−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート(85/15重量比)およびラジカル重合開始剤として過硫酸カリウムおよび純水を用い、ソープフリー乳化重合を行い、平均粒子径0.4μmの熱可塑性樹脂(3)を合成した。この熱可塑性樹脂(3)のガラス転移温度は70℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(3)中のイオン分の濃度を測定したところ0.025wt%であった。
【0047】−合成例4−スチレン、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(70/15/15重量比)およびラジカル重合開始剤として過硫酸アンモニウムおよび純水を用い、ソープフリー乳化重合を行った後、限外濾過による精製を行い、平均粒子径0.3μmの熱可塑性樹脂(4)を合成した。この熱可塑性樹脂(4)のガラス転移温度は65℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(4)中のイオン分の濃度を測定したところ0.07wt%であった。
【0048】−合成例5−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート(85/15重量比)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびラジカル重合開始剤として過硫酸アンモニウムおよび純水を用いて乳化重合を行い、平均粒子径0.4μmの熱可塑性樹脂(5)を合成した。この熱可塑性樹脂(5)のガラス転移温度は72℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(5)中のイオン分の濃度を測定したところ7wt%であった。
−合成例6−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート(85/15重量比)およびラジカル重合開始剤として過硫酸アンモニウムおよび純水を用い、ソープフリー乳化重合を行った後、限外濾過による精製を行い、平均粒子径0.5μmの熱可塑性樹脂(6)を合成した。この熱可塑性樹脂(6)のガラス転移温度は70℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(6)中のイオン分の濃度を測定したところ0.00002wt%であった。
【0049】−合成例7−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート(80/15/5重量比)およびラジカル重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリルと、溶媒としてのトルエンを混合した。この混合物を、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱撹拌して溶液重合を行い、熱可塑性樹脂(7)のトルエン溶液を得た。溶媒であるトルエンを留去して得られた熱可塑性樹脂(7)のガラス転移温度を測定したところ70℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(7)中のイオン分の濃度を測定したところ0.04wt%であった。
【0050】−合成例8−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート(85/15重量比)およびラジカル重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリルと、溶媒としてのトルエンを混合した。この混合物を、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱撹拌して溶液重合を行い、熱可塑性樹脂(8)のトルエン溶液を得た。溶媒であるトルエンを留去して得られた熱可塑性樹脂(8)のガラス転移温度を測定したところ75℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(8)中のイオン分の濃度を測定したところ0.00002wt%であった。
【0051】−合成例9−スチレン、2−エチルヘキシルアクリレートおよびP−スチレンスルホン酸ナトリウム(85/14/1重量比)と、ラジカル重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリルと、溶媒としてのトルエンを混合した。この混合物を、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱撹拌して溶液重合を行い、熱可塑性樹脂(9)のトルエン溶液を得た。溶媒であるトルエンを留去して得られた熱可塑性樹脂(9)のガラス転移温度を測定したところ75℃であり、上述した熱可塑性樹脂中のイオン分の濃度測定方法に従い、熱可塑性樹脂(9)中のイオン分の濃度を測定したところ8wt%であった。
【0052】−実施例1−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例3で得られた熱可塑性樹脂(3)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(3)の粉末で被覆処理した接着性スペーサー(1)を得た。電子顕微鏡(SEM)により接着性スペーサー(1)を観察し、接着層(被覆層)の厚みを測定したところ0.25μmであり、また熱可塑性樹脂単独の凝集物は存在しなかった。また、得られた接着性スペーサー(1)の分散性を湿式散布法により評価したところ、スペーサーの凝集物は認められず良好な分散性を示した。次に接着性スペーサー(1)を用いて13インチTFT液晶表示板(1)を作製したところ、液晶表示板中に熱可塑性樹脂単独の凝集物や、スペーサーどうしの凝集物は見られず、液晶セルのギャップバラツキによる色ムラも発生しなかった。また液晶表示板の振動テストを行ったところスペーサーの振動に伴う光抜け(配向不良)は発生しなかった。これらの結果を表1に示した。なお、表中の測定結果・評価の方法は以下のとおりである。
【0053】〔電子顕微鏡(SEM)観察による評価〕
(接着層厚み)接着層で被覆する前の粒子(x)および接着層で被覆した後の粒子(y)それぞれについて、電子顕微鏡(SEM)により任意の200個の粒子径を実測し、次式に従って接着層厚みを求めた。
接着層厚み(μm)={(yの平均粒子径)−(xの平均粒子径)}×1/2(熱可塑性樹脂単独の凝集物)
○:凝集物の存在無し△:凝集物の存在有り×:凝集物が非常に多い〔湿式散布による分散性の評価〕スペーサー20gを、IPA/水の混合溶媒(70/30体積比)1Lに分散した分散液を用いて、湿式散布法により300mm×345mmのガラス基板上にスペーサーを散布し、基板上の任意の10ヶ所を観察してスペーサー凝集の有無を評価した。
【0054】
○:スペーサー凝集無し×:スペーサー凝集有り〔TFT液晶表示板での評価〕
(熱可塑性樹脂単独の凝集物由来の液晶配向不良性)
○:凝集物の存在が無く液晶配向良好△:凝集物の存在による液晶配向不良有り×:凝集物が非常に多く液晶配向不良箇所多数有り(スペーサーどうしの凝集物由来の色ムラ)
○:色ムラの発生無し×:色ムラの発生有り(振動テスト)液晶表示板を、パネル面に対して垂直方向に5Gの加速度で30分間振動させた時の、面内のスペーサーの移動に起因した配向膜の光抜けに伴う液晶配向不良を評価した。
【0055】
○:配向膜の傷付きによる液晶配向不良無し△:配向膜の傷付きによる液晶配向不良有り×:配向膜の傷付きによる液晶配向不良多数有り−実施例2−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例4で得られた熱可塑性樹脂(4)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(4)の粉末で被覆処理した接着性スペーサー(2)を得た。
【0056】−実施例3−合成例2で得られたビニル系架橋重合体粒子(2)30gと合成例3で得られた熱可塑性樹脂(3)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(2)の表面を熱可塑性樹脂(3)の粉末で被覆処理した接着性スペーサー(3)を得た。
−実施例4−合成例2で得られたビニル系架橋重合体粒子(2)30gと合成例4で得られた熱可塑性樹脂(4)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(2)の表面を熱可塑性樹脂(4)の粉末で被覆処理した接着性スペーサー(4)を得た。
【0057】−実施例5−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例7で得られた熱可塑性樹脂(7)6gをトルエン100gに溶解したポリマー溶液とを混合した。得られた混合液を加熱しながらエバポレーターでトルエンを留去し、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(7)で被覆処理した接着性スペーサー(5)を得た。
−比較例1−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例5で得られた熱可塑性樹脂(5)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(5)の粉末で被覆処理した比較接着性スペーサー(1)を得た。
【0058】−比較例2−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例6で得られた熱可塑性樹脂(6)の粉末6gとを混合した。混合後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法(16000rpm、5分間)により、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(6)の粉末で被覆処理した比較接着性スペーサー(2)を得た。
−比較例3−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例8で得られた熱可塑性樹脂(8)6gをトルエン100gに溶解したポリマー溶液とを混合した。得られた混合液を加熱しながらエバポレーターでトルエンを留去し、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(8)で被覆処理した比較接着性スペーサー(3)を得た。
【0059】−比較例4−合成例1で得られた複合体粒子(1)30gと合成例9で得られた熱可塑性樹脂(9)6gをトルエン100gに溶解したポリマー溶液とを混合した。得られた混合液を加熱しながらエバポレーターでトルエンを留去し、複合体粒子(1)の表面を熱可塑性樹脂(9)で被覆処理した比較接着性スペーサー(4)を得た。上記、実施例2〜5で得られた接着性スペーサー(2)〜(5)、および比較例1〜4で得られた比較接着性スペーサー(1)〜(4)それぞれについて、実施例1と同様の評価・測定を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂からなる接着層の厚みが大きく、しかも熱可塑性樹脂単独の凝集物が低減され、また、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーおよびその製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
【出願日】 平成12年10月23日(2000.10.23)
【代理人】 【識別番号】100073461
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 武彦
【公開番号】 特開2002−131758(P2002−131758A)
【公開日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【出願番号】 特願2000−323238(P2000−323238)