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製紙連が組織的に偽装認識と示唆 中越パルプ社長発言

2008年01月21日23時17分

 再生紙の古紙配合率を偽装していた製紙6位の中越パルプ工業の長岡剣太郎社長は21日の記者会見で、業界団体の日本製紙連合会が昨夏、グリーン購入法の配合率基準の引き下げを環境省に求めた提案について、「(実際の配合率と公称の)乖離(かいり)を埋める狙いがあった」と話した。配合率の偽装を製紙連として組織的に認識していたことを示唆した発言だ。

 グリーン購入法に基づく調達では、コピー用の再生紙については古紙の配合率を100%としており、製紙連は提案で70%に引き下げるよう求めた。提案書によると、狙いは(1)(二酸化炭素を吸収した)木材パルプを使えば製造工程での二酸化炭素の排出量が減る(2)廃棄物や(古紙再生に)使う薬剤の量が減る、などとしていた。

 製紙連の常任理事でもある長岡社長は会見で同社で偽装があったことを正式に発表し、「薄々だが、私は1年前には(偽装を)把握していた」と明言。製紙連の提案について「乖離を埋める狙いがあった。詳細は覚えていないが、(提案について)理事会で報告があったような気がする」と話し、業界中で行われていた偽装を当時既に製紙連として把握していた、との認識を示唆した。

 製紙連の事務局によると、提案内容は上級紙・塗工紙委員会のワーキンググループが昨年7月20日に決定。理事会には報告がなく、同31日に環境省環境経済課に提出していた。上級紙・塗工紙委員会には、中越の成毛康夫常務(営業本部長)が入り、ワーキンググループにも同常務の部下の営業第二部調査役が加わっていた。成毛常務は会見に同席、「私は6月ごろには当社での乖離を把握していた」と話した。

 偽装全般については、製紙連の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)が17日の朝日新聞などの取材に「業界では、みんな知っていたと思う」と答えていたが、21日に長岡社長に先立って開いた製紙連会長としての定例会見では「今回の問題が明らかになるまで把握していなかった」と話した。製紙連事務局は、中越の長岡社長の指摘について「そのような狙いはなく、長岡社長の勘違い」としている。

 「配合率100%」を公称していたコピー用紙の実際の配合率は、昨年10月までに是正した王子製紙、生産していない北越製紙を除き、大手5社のうち残り3社の社内平均値はいずれも70%を下回っていた。配合率の見直しは環境省が今春に行う方向だったが、偽装発覚を受けて延期する。

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