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2008年1月22日

◎県人千人が交流会 親睦団体から「応援団」へ

 都内で今秋開催される石川県人の大規模な交流会を、各県人組織や出身者の「ふるさと 意識」の再結集につなげたい。

 首都圏には市町や学校単位など八十以上の県人組織があるが、それぞれ強い愛郷心を抱 いていても結束力が分散していては、ふるさとを支え、変えていくような大きな力にはなりにくい。交流会は約千人が集う、近年では例のない規模となる見通しであり、県人組織が同郷者の親睦団体、同窓会的な性格から、石川との結び付きをより重視する「応援団」として発展することを期待したい。

 北陸新幹線金沢開業が実現すれば、ふるさとは県出身者にとって、より近い存在となり 、行き来が活発化するだろう。県人組織は「遠きにありて」の思いを共有し、愛郷心を確認する場として機能してきたが、そこから一歩踏み出し、応援団として活躍してもらうには県出身者にふるさとづくりへの参加意識を促すことが大事である。

 石川県や市町からも旬の情報を発信し、つながりを太くする企画に知恵を絞る必要があ る。双方向の交流を重ねていけば、新幹線による時間短縮だけでなく、心の距離感もぐんと縮まるはずである。

 交流会は関東東京石川県人会から改称された「石川県人会」などが中心となって開催し 、能登半島地震からの復興支援と、新幹線開業へ向けた結束を確認する。政治、経済、文化など各界各層から集まり、出席者にとっては県人の多彩な顔触れを実感する場となろう。そこに集う数の力やさまざまな分野に広がる人脈を生かし、若い世代を含め、県人の掘り起こしや組織化を進めてほしい。

 昨年二月には金沢市出身や同市ゆかりの人たちでつくる「TOKYO金澤CLUB」、 同七月には加賀市の「東京加賀江沼のもん会」が新たに発足した。ふるさとへの思いを共有できる場が整ってきたことは心強い限りである。

 ふるさとの魅力は、石川県に住む人より地元を離れた出身者の方がよく見えるかもしれ ない。特定の組織に所属していなくても出身地の力になりたいと考えている人も少なくないだろう。県人組織には、そうした思いを受け止め、ふるさとへと導いていく役割を望みたい。

◎家電リサイクル アジアに視点を広げて

 環境省は家電リサイクルをさらに推進するため、メーカーに達成を義務付けているリサ イクル率の引き上を検討している。中央環境審議会の協議を経て今夏にも結論を出す予定というが、廃家電の再生利用を進めるに当たっては、大量の廃家電がアジア諸国に流出し、現地で不適切に処理されて環境汚染を引き起こしている現実を直視する必要もある。

 政府は昨年決定した「二十一世紀環境立国戦略」の中で、アジアを中心に国際的な循環 型社会を構築するために協力する方針を掲げている。環境技術の先進国として国際社会をリードしていこうというのであれば、国内にとどまらず、アジア諸国の家電リサイクルにも積極的に取り組んでよいのではないか。環境分野における国際貢献と貴金属や希少金属の回収という資源戦略の両面から意義があると思われる。

 現行の家電リサイクル法に基づいて、再商品化が義務づけられる四品目の家電は、リサ イクル率の下限が政令で定められている。今回引き上げが検討されている洗濯機と冷蔵庫が各50%、エアコンが60%となっている。リサイクル率の実績は〇六年度で70―80%台といずれも下限を上回っており、この点で家電リサイクルは順調といってよい。

 環境省はリサイクル率の下限を引き上げて、資源回収率をさらに向上させようというわ けであるが、国内法だけでは対処できない問題として、海外に流出する廃家電の多さを忘れてはならない。政府の〇五年度の試算では、一年間に廃棄される家電四品目合わせ二千三百万台のうち、法律に従って正規に処理されたのは半分程度で、三分の一以上の七百七十万台が中古品ないし金属回収用として輸出されているという。

 ところが、流出先のアジア諸国の中には、リサイクルの技術も仕組みも不十分な国が少 なくないため、結果的に環境汚染をもたらし、輸出国側の責任を問う声も出ている。環境立国を標ぼうする日本としては看過できない問題であり、環境省は金属価格の高騰も背景に、アジアで廃棄された家電や電子機器を引き取って処理することや技術支援を検討しているという。まず実態調査を急ぎ、実現に本腰を入れたい。


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