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自衛隊海外派遣 恒久法への前のめり危ぐ

 福田康夫首相が通常国会の施政方針演説で、迅速かつ効果的な国際平和協力活動を実施するため、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の検討を進める考えを明らかにした。今後の主要な政治課題となりそうだ。

 首相は、年頭会見でも事態ごとに特別措置法を制定する現在の方式では派遣に時間が掛かると述べ、恒久法制定に意欲を示した。政府としても今月上旬に町村信孝官房長官と高村正彦外相、石破茂防衛相の会合で、本格検討に入ることを決めている。

 インド洋での海上自衛隊による給油活動再開のための新テロ対策特別措置法が曲折の末に成立し、実施計画の閣議決定を経て海自補給艦が出港準備を進めている。二月中旬には現地で活動再開の見込みだ。だが、対テロ新法の期限は一年であり、この面からも政府は早く恒久法を制定したいところだろう。

 首相は、官房長官時代の二〇〇三年に私的諮問機関の報告を受けて恒久法制定方針を表明した。自民党も〇六年に防衛政策検討小委員会で法案原案を作成している。政府、自民党には、それなりに議論を重ねてきたとの思いがあろう。民主党も恒久法積極論者を抱える。恒久法制定論議を高めることで、民主党を政策協議に誘い出す狙いもあるかもしれない。

 世界の平和と安定に貢献することは首相が言う通り日本にとって重要ではあるが、一方で憲法九条を持つ日本は自衛隊の活用に関しては抑制的であるべきだ。

 自衛隊は平和憲法に基づいて専守防衛を旨としている。国際情勢の変化に対応して一九九二年に国連平和維持活動(PKO)協力法が制定された際にも、停戦合意の成立、紛争当事者の日本の参加に対する同意、武器使用は要員の生命保護など必要最小限にといった厳格な「参加五原則」が定められた。

 首相をはじめ恒久法積極論者は、特措法方式ではその都度国会論議を要するため適宜に対応できないというが、その時々の状況に応じて慎重に判断する姿勢を、日本は大切にすべきであろう。

 先の臨時国会は対テロ新法案をめぐって日本の国際貢献の在り方を議論する絶好の場だった。だが、自民党も民主党も次期衆院選を視野に政局絡みの対応に終始し、議論は深まらなかった。

 軍事面の貢献だけでなく、民生分野を中心とした、より幅広い貢献策が検討されてよかろう。広い視野に立った貢献策の議論がまず求められるのであり、恒久法制定ありきであってはならない。


米経済対策 政策総動員し景気支えよ

 ブッシュ米大統領が、景気後退入りの阻止を目指し、総額が最大で千五百億ドル規模(約十六兆円)となる緊急経済対策の概要を発表した。

 米議会との調整があり詳細には触れなかったが、個人所得税の一部を返す戻し減税や企業の設備投資を促す税制優遇の拡充が柱になる。消費などを刺激し、信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題が実体経済に波及するのを防ぐための財政出動といえる。

 しかし、ニューヨーク株式市場は発表を受けて売りが優勢となり、四日続落で終わった。内容に新味がなく効果は限定的と映ったようだ。

 緊急対策には減税や税制優遇に加え、最終的には議会が検討中の失業保険や低所得者向けの食料切符制度の拡充なども盛り込まれるとみられている。米政権は議会との調整を急ぎ、早急に対策を実行することだ。消費拡大などが実際に数字に表れれば、情勢が好転するかもしれない。

 昨年夏にサブプライムローン問題が表面化して以降、米政権の対策には「後手」批判が付きまとい、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げしても効果は薄かった。今回、バーナンキFRB議長が慣例を破り、大統領の発表前から政府の景気対策に支持を表明した背景には、そのような事情があろう。今後、財政政策と金融政策の一層の連携強化が求められる。

 サブプライムローン問題で金融機関の損失が拡大しているとはいえ、株式市場の動向などは不安心理が先行している面があろう。本当に実体経済が落ち込む前に、米国は政策を総動員し、先手を打つ姿勢で景気を支えなければならない。対応の遅れは世界経済の失速を招きかねない。

(2008年1月21日掲載)
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