スイスの有力馬術選手、シルビア・イクレ選手が香港を会場に行われる北京五輪馬術競技への参加を棄権する意向を表明したことが、波紋を広げている。欧州から香港への11時間に及ぶ馬の長距離輸送や、亜熱帯の気候が競技馬の健康を損なうとの理由からだ。地元関係者は室内練習場の空調設備や、気温の低い時間帯に競技日程を組んでいる点をPRするなど火消しに躍起となっている。
11日付明報によると、イクレ騎手は世界ランキング4位の欧州を代表する馬術ジョッキー。今年8月の五輪馬場馬術(ドレッサージュ)について「(香港のような)気温の高い場所での競技は馬の健康を害する」として、参加を見送る意向を表明している。
これを受け香港五輪委員会は◇競技は早朝6〜7時と夜7時以降とし、日中を避けている◇きゅう舎、室内練習場とも空調完備◇主会場でも常に温度管理を徹底し、冷水噴霧装置も設置――など、競技場に対する配慮は十分とのアピールを展開している。同委では「米ロサンゼルスやアトランタなど気温の高い会場でも成功している。(イクレ騎手の主張は)根拠がない」と困惑気味だ。
同委では、駐香港ドイツ総領事館に改めて確認するなど、イクレ騎手と同様の棄権が欧州で広がらないかの確認も始めている。<香港>
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