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代理出産を原則禁止に 「臨床試験」で実施も 検討委案

2008年01月18日10時01分

 代理出産の是非を検討している日本学術会議の「生殖補助医療の在り方検討委員会」(鴨下重彦委員長)は17日までに、代理出産を原則禁止とする報告書素案をまとめた。営利目的での実施やあっせんには罰則を科す。一方で、将来的に門戸を開くかどうか再検討する判断材料とするため、国の審査を経た「臨床試験」のような形で、極めて限定的な実施を認めることも検討している。

 素案は、18日の検討委員会に提示される。しかし、最終報告書がまとまるまでにさらに議論が続くことが予想される。

 代理出産をめぐっては03年に厚生科学審議会が全面禁止とする方針を打ち出している。日本産科婦人科学会(日産婦)も指針で認めていない。

 一方で、国内でも代理出産したケースが明らかになったり、代理母を求めて海外に渡る例が明らかになったりしていた。

 また、タレントの向井亜紀さんが米国で代理出産を依頼したケースでは、生まれた子どもについて、最高裁は07年3月、依頼した夫婦と子どもとの親子関係を認めないとする判決を出す一方、法整備を促した。

 検討委は06年12月に設置された。医学、生物学、法学、社会学など、さまざまな専門家から意見を聴き、方向性を議論。高齢出産のリスク、第三者の子宮に夫婦間の受精卵を移植する場合の胎児への影響、国民の意識、法的身分の整備などを検討した。

 その結果、代理母への健康的影響や、子どもへの将来的な影響が不明確であることなどから、基本的に禁止する方針で一致した。学会の会告などを無視する形での実施については、罰則などで、より厳しい姿勢でのぞむべきだとする意見が大勢を占めた。

 ただ、海外に渡ってでも代理母出産を望む人がいる現状を踏まえ、全面禁止だけでは解決できない問題があると判断。慎重を期すことを前提に、国の承認を得た臨床試験のような形で安全性にかかわるデータを集めることも重要とし、最終調整をはかることになった。

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