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【政治】

ガソリン税 新たな理論武装 『価格下がれば温暖化進む』 世論巻き返しに躍起

2008年1月21日 07時03分

 政府・与党はガソリン税(揮発油税など)の暫定税率を継続する理由の一つとして「価格が下がればガソリン消費量が増えて地球温暖化が進む」と主張し始めた。「道路整備が遅れる」という財政論に加え、環境問題と結びつけて暫定税率維持に理解を得る狙いだが、原油価格高騰に苦しむ国民の怒りの火に油を注ぎ逆効果となる可能性もある。 (本田英寛)

 福田首相は十五日の記者会見で「今年は北海道洞爺湖サミットもある。環境対策も考えなければならない。ガソリンが安い方がいいということで簡単に済むのか」と発言。十八日の施政方針演説でも「地球温暖化問題への対応を行うためにも、現行の税率を維持する必要がある」と強調した。

 町村信孝官房長官も十七日の記者会見で「地球温暖化問題」などと書かれたパネルを使い、英国はガソリン代の66%が税金で、39・5%の日本より高いと説明。「諸外国は環境も考えて税額を上げている。日本がガソリンの値段、税金を下げたら、環境問題に熱心に取り組んでいるとは見られない」と力説した。

 政府・与党が環境問題を持ち出してきたのは、新たな理論武装の必要性に迫られているためだ。

 暫定税率廃止を打ち出した民主党に対して、政府・与党は「九千億円の歳入欠陥が生じて国民生活や地方自治体に大きな問題が生じる」(自民党の伊吹文明幹事長)と反論してきた。だが、共同通信が十一、十二日に行った世論調査では暫定税率継続反対が72・2%、賛成21・4%と形勢は圧倒的に不利。そこで、国民の関心が高い環境問題に着目したとみられる。

 これに対し、民主党は「道路整備を目的に重い税率をかけているのに、温暖化対策のためだ、と主張するのは法律の目的からみておかしい」(古川元久党税制調査会副会長)と早速、反撃を開始している。

 与党内からも「地方では自動車がないと生活できない人が多い」「ガソリン価格と環境問題とは分けて考えるべきだ」という意見も出ている。

(東京新聞)

 

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