既にyahoo.comでは採用されている新デザインに、Yahoo! Japanももうすぐ移行します。
そうなるとディレクトリサーチ部分は拡張検索の更に奥に追いやられ、SEO対策程度にしか意味が無くなってしまうわけですが。
かつてはYahoo!をして他の検索エンジンとの差別化の証だったディレクトリサーチ。その惜別の念から自棄になったわけでもないのでしょうが...Yahoo! Japanがディレクトリリンクに対して暴挙とも思える施策を入れ込んだようです。
実際にYahoo! Japanのディレクトリを見てみると、リンク先がかつてのように効果測定用の複雑なURLではなく、直リンクになっているように見受けられます。
昔は
Yahoo!ディレクトリ → Yahoo!効果測定用ページ →302→ 目的ページ
と、302リダイレクトを用いて目的のページへ遷移させていました。
それが
Yahoo!ディレクトリ → 目的ページ
と直接のリンクに変わったのか?と一瞬思わせます。
ところが、よく見てみるとaタグ内に怪しいコードが。
onmousedown?
単なるテキストリンクなのに、いかがわしい臭いがしてきます。
このcatrdという関数が何なのか、もう少し見てみましょう。
関数の中身はこんな感じです。
function catrd(o,r,f,t){var pat=/:/;var href=o.href;var rbase='http://srd.yahoo.co.jp/CAT';var cbase='http://dir.yahoo.co.jp/proc/?m=redir';var tourl=href.replace(pat,'%3A');if(f!=""){f='?frc='+f}if(t!="site"){url=rbase+r+"*-"+tourl+f}else{var enc=encodeURIComponent?encodeURIComponent:escape;url=cbase+r+enc(href)}o.href=url;o.onmousedown="";return true}
勘の良い人ならすぐに気づきますね。
念のためにTamperDataでHTTPヘッダの動きを確認してみると、案の定。マウスが押された瞬間にリンク先を書き換えて、効果測定用のページに飛ばされるように書き換えているようです。
しかも、悪いことにリダイレクトは2回。
Yahoo!ディレクトリ → dir.yahoo.co.jp/proc →302→ srd.yahoo.co.jp/CAT →302→ 目的サイト
となっています。
彼らがこんなことをしている理由は、おそらくは最初に書いた「自棄の開き直り」じゃないでしょうが、SEO目的だと思われます。
ビジネスエクスプレスは未だに大きな収益源であり、新デザインで価値が下落するのを少しでも防ぐために、このような姑息な仕込を入れたのでしょう。
ここで、いったい何がSEO対策で、どこが暴挙なのか整理しておきましょう。
まず、Yahoo! Japanの...というか、これがSEO対策になると思っている人の感覚から。
(1) 効果測定ページへのリンクでは、被リンクポピュラリティが加算されない
(2) であれば、ビジネスエクスプレスがSEO的に価値があるのは内部的にランクを操作できるYahoo!だけ
(3) 他のエンジンに対しても価値を高めるには、直接リンクにしなければならない
(4) しかし効果測定は行いたい
(5) 検索エンジンはJavascriptを理解できないので、ここでコッソリ書き換えてしまえばよい
という流れでしょう。
しかしここでまず誤解があるのは、大前提の(1)について。
リダイレクトが行われている場合、Yahoo!以外の殆どの検索エンジンはリンク先を加算してくれます。
これはdomain移動などの際によく使われるテクニックで、少なくともGoogleやMSNはHTTPレスポンスヘッダを読んでくれているようです。
さて、声高に言うのも馬鹿馬鹿しいですが、暴挙である理由。
1. これはスパムテクニックである。
しかも、使い古されて廃れた類の、絵に描いたようなスパムです。
onloadやonclickなどでなくonmousedownというところが微妙に新しいですが...これは、Yahoo!が相手であれば、この方法でペナルティ逃れできるという示唆でしょうか?
いずれにしろ、Matt Cutts氏のblogなどでかつて何度も繰り返し叩かれている、手垢のついた手法です。
2. 302リダイレクトを使っている。
これは何故なのでしょう?
RFC2068によれば、302は「Moved Temporarily(一時的なページの移動)」です。
これでは、「本来はdir.yahoo.co.jpにあったページが一時的にsrd.yahoo.co.jpに移動して、更に本来の目的URLに一時的に移動しています」という意味になってしまいます。
303を理解できないHTTP1.1対策なのでしょうか?謎です。
3. 二重リダイレクトしている。
これも、PR Passの問題があるため禁止されていることです。
実際、自分が関わったサイトでも移転時のミスでこれが発生してしまい、当のYahoo! Japanからペナルティを受けたケースがありました。(必ずしもペナルティの原因がこれであった確証は無いのですが、9割方はそうであったと思います)
加えて言えば、yahoo.comなどでは当然、このようなことは行っていません。
Yahoo! Japan独自に行っていることのようです。
「厚生大臣が年金未納」みたいな話で嗤うにも嗤えませんが、これは「あり」なのでしょうか?
普通に考えれば、これ以上無いほど逆効果な施策だと思いますが。
果たしてGoogleがサクッとペナルティを課すのか、Yahoo! Japanが慌てて引っ込めるのか、ちょっと楽しみでもあります。
大体、どうしても効果測定をしたいのならば、何故ビーコン型の埋め込みを使わないんでしょうかね。
これならば完全にwhite hatだし、いずれにしろjsが有効でないと測定できないって意味では同じことなのに。
Yahoo! Japan...いつもながら、不可解な会社です。
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