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2008年1月21日

 謹慎明けの横綱朝青龍の登場した大相撲初場所は、盛り上がり方がいつもと違う。横綱の白星より黒星を期待するファンが目立つようである。わしづかみだった懸賞金の本数も、極端に減っているそうな

ドラマでは、主人公を引き立てる強い悪役が不可欠である。プロレスの力道山は相手の反則攻撃に耐え続け、「正義の空手チョップ」を繰り出したものである。問題児横綱も、悪役がはまり役と心得たか

別の悪役も登場した。古紙配合率を偽った製紙業界である。が、昨年大騒ぎした食品偽装とは大いに趣を異にする。品質低下かその恐れのある品を売ったのが食品偽装だが、「環境偽装」は違う。古紙を増やすと汚い紙になる。品質維持と、古紙の高騰もあって配合を減らした。つまり、良い物を作ったために、世の批判を浴びているのである

「再生」の看板偽装は、とがめられる。が、注文先は、そんな事情を全く知らなかったのか。消費者も、古紙が魔法のように化けるとでも思っていたのか

この騒ぎ、胸のすく悪人退治のお芝居でなく、「環境保護」の大合唱に世の中が振り回される喜劇のように思えて仕方がない。


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