子(ね)年が始まりました。年末年始は冷え込みが厳しかったこともあり、自宅でビデオざんまいという方もいたのではないでしょうか。
レンタルビデオ店といえば最近、漫画本を貸し出すコーナーをよく目にするようになりました。自宅近くの店舗では主役のビデオよりも広いスペースを占めています。
年明けに岡山県内での状況を記事にしましたが、レンタルが本格化したのは昨年二月、それまであいまいだった著作者に支払う使用料などの規定が整ったのが要因。これを受けて大手チェーンが商売として成り立つと判断し、参入が相次いでいるわけです。
取材した記者によると、顧客は二十―三十代の女性が目立つそう。そういえば一定料金で読み放題の漫画喫茶も随分と街に増えました。
複雑なストーリーや繊細な描写が特色の日本の漫画は、海外では従来のコミックと区別して「MANGA」と呼ばれ、ブームとなっています。西洋絵画に衝撃を与えた浮世絵と比較して語られるほどで、外務省は昨年、日本の文化発信の一環として、外国人漫画家を顕彰する国際漫画賞を創設しました。
「漫画なんか読んでないで」と親にしかられていた子ども時代と比べると、隔世の感があります。
活字離れが言われる中、新聞業界に身を置く一人としては「漫画ばかりでなく、新聞も」と口にしたくもなりますが、ビジネスのすそ野の広がりをみても、日本を世界にアピールする独自文化であることは確かなようです。
(経済部・桑原功)