ピル、無診察でネット販売 医師法違反も 愛知の医師2008年01月21日06時08分 現役の医師であるクリニックの院長が、低用量ピル(経口避妊薬)をインターネットで全国に販売していることがわかった。ピルは処方箋(せん)医薬品で、医師の診断と処方箋が必要だが、院長は簡単な電子メールのやりとりだけで販売していた。医薬品販売業の許可も得ておらず、厚生労働省は医師法や薬事法に違反する疑いがあるとして調査する方針だ。
ネットでピルを販売しているのは愛知県丹羽郡にある婦人科や泌尿器科を掲げるクリニックの男性院長(49)。院長は「オンライン処方」と題したホームページ(HP)を開いている。 HPでは、通常3150円の低用量ピル1周期(シート)分を2500円とし、「2000円に値下げ」との記載もある。「どの低用量ピルが適しているか、院長が無料・ボランティアで相談する」と書かれ、購入希望者には、メールで(1)年齢、身長、体重(2)健康状態や服用中の薬の有無(3)ピルの使用経験――について返信を求めている。 取材に応じた院長によると、HPへのアクセスは1日約6万件で、処方依頼や服用の問い合わせなどのメールが1日60〜100件あるという。 昨秋、このHPを通じてピルを購入した東京都内の女性によると、ピルの使用経験はなかったが、「ピルを使用したことがある」とメールで送ると、「経験者で、すでに近くの産婦人科で検査も終わっているようですから、低用量ピルの使用はOKと判断しました♪」と返信があった。 料金は2シート分で5000円(内税)。指定の銀行口座に入金すると、その日のうちに入金確認のメールがあり、翌日にはピルが届いた。 厚労省によると、医師法は、医師が診察せずに診断書もしくは処方箋を交付してはならないと規定している。また、医師が診察後に処方する場合を除き、医師の処方箋があっても処方箋医薬品の販売には医薬品販売業の許可や薬局開設許可が必要だが、同県江南保健所によるとクリニックはいずれも無許可だった。 専門家らは、ピルを医師の経過観察なしに自己判断で長期間服用すると、乳がんや肝機能障害といった健康被害を引き起こす恐れもあると指摘している。 院長は「メールで患者の健康状態は十分に把握できる。無診断処方を禁じた医師法の規定は実態にそぐわない。処方はあくまで医療行為であり、薬事法に基づく無許可販売との指摘は受け入れられない」と話している。
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