元々通訳などの、法律で指定された、職種にしか認められていなかった、派遣を一般労働者にも広げたのだ。
この法律は、アメリカの要求によるものであった。
反対したのは、共産党だけであったし、派遣業はピンはね業であると明確に言ったのも、共産党だけであった。
社民党もこの法案には、賛成しているのである。
「半分合法化」と書いたのは、労働基準法には、ピンはね行為を禁止する条文が、残っており、この条文によれば、やはり、派遣は違法行為なのである。
人材派遣や請負は、「半合法化」以前から、存在している。
この手のピンはね業者は、50〜60年代の高度成長期から、手配師と呼ばれて、その存在を黙認されてきた。
手配師には、暴力団が関与しているケースもあると言う。
裏稼業であり、堅気の商売ではなかったのである。
増えたのは、やはり、バブル以降である。
一般に、夜勤など正社員のやりたがらない仕事を、低賃金で引き受けてきた。
正社員に対しては、仕事が忙しくても、そうでなくても、固定給を支払わねばならない。
その上、長く勤務したからといって、能力は変らないのに、長く勤務した者ほど、高い給料を支払わねばならない。
(年を取るほど、むしろ仕事の能力は、衰える場合もある)
正社員の終身雇用制度、年功序列制度の矛盾、隙間を埋めるために、手配師が存在してきた側面もある。
仕事が忙しいときだけ、手配師を使って、人を集め、仕事が無くなったら、解雇すればよいから、手配師が、正社員の終身効用制度を支えてきたのである。
派遣、請負は、小泉、安倍の「改革」のせいで生じたのではなく、昔から存在した矛盾が、ここ数年の構造改革によって、表面化したというほうが、正鵠を得ている。
派遣、請負、季節従業員、バイト、臨時など、非正規雇用は、バブル以前にも存在したが、多くなったのは、バブル以降である。
ヴォルフレンと言う、オランダ人ジャーナリストによると、バブル以前でも、
終身雇用の恩恵を受けていたのは、パート主婦などを含めた、労働者全体の、
3割程度に過ぎなかったと言う。
中小零細企業の倒産は、バブル以前から、日常茶飯事であった。
高度成長が終わった、74年から、今日まで、バブルの一時期を除けば、有効求人倍率は、1倍をきり、ほぼ、0.6倍と変らない。
この数字は、何を意味するのだろう。
完全失業率も、高度成長が終わった、74年以降、一環して増え続けている。
バブル時に、失業率は一時的に低下するものの、失業率自体は、高度成長期の
60年代より多かったのである。
有効求人倍率には、高校、大学や専門学校などの新卒者は、含まれて居ないから、新卒者以外に対する求人は、常に不足していたのである。
新卒者以外で、正社員になることは、高度成長が終わった、70年代以降、殆ど不可能であったと思われる。
正社員になれるのは、新卒者と言った、硬直した、雇用システムが、有効求人倍率、0.6倍という数字に表れていると言えないだろうか。
手配師については、下のリンク先を参照して欲しい。
底辺の日雇い労働者が、バブル後の不況で、ホームレス化したのではないかと言う。
中国で、子供を働かせ、労働者を殴り殺した業者が死刑にされた。
オリンピックを控えて、人権をアピールする、中国政府の狙いもあったと言う。
日本でも、手配師が労働者を殴り殺す事件は起きている。
日雇い労働者は、その日のうちに、現金で給料をもらえるか、一定期間、働いた後に、給料を貰うかであった。
後者の場合、たこ部屋に一定期間、入れられ、脱走しようとする労働者は、暴力をふるわれ、また、手配師のほうも、脱走した労働者に対しては、給料を支払わなくて済んだから、脱走するように仕向けていた面もあるという。
労働者が、17人しかいないのに、21人存在する事にして、ピンはねしていたケースや、日給15000円〜16000円のところを、日給5000円〜6000円しか支給せず、ピンはねしていたケースなどがある。
産経新聞は、数年前、ホームレスについての論文を読者から、募集した。
入賞作中には、専業主婦による、「今時仕事を選ばなければ、仕事はいくらでもある。怠けているだけだ」と言った内容のホームレスを批判する論文が選ばれ、産経の紙面を飾った。
ホームレス=ダメな人間と決めつけ、ホームレスが増加した背景を隠蔽しようとする、新聞による意図的な情報操作であったと思われる。
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/ja/issue/pdf/pdf_zasshi07/04_haraguchi.pdf
http://www.nskk.org/chubu/nyc/nojuku/nojuku08.html
手配師が、派遣業として表に出て、非正規雇用が増えたことで、これまで無視、または黙認されてきた問題にも、取り組む必要が生じたのである。
小沢民主党党首は、セーフティーネットを作ると言っておられるし、安倍総理も、再チャレンジを前から言っておられるのだから、前向きに取り組んで欲しい。